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おすすめの本
 

No.705  令和3年7月

『「低度」外国人材』『31㎝』
安田 峰俊/著 KADOKAWA

 タイトルの「低度外国人材」という言葉は著者の造語です。日本が積極的に受け入れていこうとしている専門的な技術や知識を有する「高度外国人材」に対し、単純作業に従事している外国人のことを指します。日本は就労目的の外国人の滞在を禁じているので、その多くは技能実習生という肩書きで来日しています。彼らはどういった経緯で日本に来たのか、日本での生活をどう思っているのか、帰国後どんな生活を送っているのか。そこには、理不尽な条件の下、したたかに生きる人たちがいました。
 これからますます頼ることになる外国人労働者が日本で幸せに暮らすのは、夢物語なのでしょうか?
(N.K) 

   ヘアドネーションの今を伝え、未来につなぐ
Japan Hair Donation & Charity/監修 KuLaScip

 寄付された髪の毛だけで作ったウィッグを、髪に悩みを持つ18歳以下の子供たちに無償で提供する『ヘアドネーション』。必要な髪の毛の長さは31㎝。設立当初は、髪の毛の寄付も月に1つ2つ。最初のウィッグを提供できたのは設立から3年後でした。今では年間10万人以上、子供から大人まで参加する活動へと成長してきています。
 「子供達に、何ができたのか。これからの未来を見つめていきたい」との思いを胸に、様々な立場で関わる人達のインタビューをイラストや写真とともに、紹介されています。

(Y.K)
『入浴は究極の疲労回復術』『東京商店夫婦』
早坂 信哉/著  山と渓谷社

 20年以上にわたり、お風呂と温泉について研究を重ね、温泉療法を専門とする医師の著者。その著者が、日本人にとって身近なお風呂を効果的かつ意識的、積極的に使うことで疲労回復を促す方法をわかりすく手ほどきしています。
  毎日湯船に浸かって入浴をすることは最高の健康法につながります。しかし、一方では毎年2万人もの人が入浴中の事故で命を落としているという現実を伝え、正しい入浴知識を持つことの大切さにも触れています。入浴の意義について再認識させられます。

(Y.O)
阿部 了/写真 阿部 直美/文 交通新聞社 

 著者は、手作りのお弁当を作る人、食べる人を全国で取材する阿部夫婦。テレビ番組のお弁当ハンターとしても活躍中です。揃って現場へ行き、気兼ねなく仕事ができてラッキーと感じる二人への周りの反応は、羨ましいではなく「よく夫婦で一緒にできるね」という冷ややかな感想。そこで夫婦で同じ仕事をしている人たちに注目し、取材をすることにしました。
 東京で商売をしている夫婦40組を取材。最初に気になる布団屋さん、続いて精米店や定食屋、書店など、どの夫婦からも商売への思いや楽しさが伝わります。コロナ禍での商店を続けることの厳しさに エールを送る一冊です。
(T.M)
『あなたにオススメの』『人生「散りぎわ」がおもしろい』
 本谷 有希子/著 講談社

 「AIをもっと親しみやすい存在に変えよう」という政策が始まり、子供には生まれた瞬間からデジタル機器を与えてネット付けにするのが親の務めになりました。あらゆることを手ぶらで済ませるため超極小の電子機器を体内に埋め込むことを子供でも行う時代です。インターネットを貪りつくしてきた凡事推子は、オフライン志向を望むママ友の悩みを聞くことを愉しみながら、マイクロチップを体内に埋め込むことを勧めていました。
 極めてリアルな未来が描かれています。
(M.O)

下重 暁子/著 毎日新聞出版 

 すべての命には、必ず終わりが訪れます。だからこそ重要になるのは、その「散りぎわ」だと著者は、本書を通して語っています。家族、友達、仕事仲間、あらゆるつながりの中で生きていく私たちは、すべてがそこにあることを当たり前だと勘違いしやすい日常の中にいます。しかし、それらすべてが当たり前ではなく、一つ一つが自身の手で獲得した現実であることに気づかされます。著者の言う「散りぎわ」が自分だけではな他者の人生をも大いに輝かせるものになるのかもしれません。 
(W.H)