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おすすめの本
 

No.672 令和2年3月

『わたしのベスト3』『なんで僕に聞くんだろう。』
毎日新聞出版/編  和田 誠/画
毎日新聞出版
 本を選ぶ楽しみというのは、読書の楽しみのひとつです。けれども、選ぶ選択肢が多ければ、なかなか自分が楽しめる一冊に出会える確率が低くなってしまうものです。そんな時に役立つのが、新聞や雑誌の書評欄では?
 この本は、毎日新聞の書評欄に掲載されている「今週の本棚この3冊」を1冊にまとめたものです。現在も活躍中の人気作家たちが、ジャンルを問わず、いろいろな作家や小説を紹介しています。この本を参考に、今まで読んだことのなかった作家たちの作品に挑戦してみませんか。
               (A.U)
幡野 広志/著   幻冬舎

 2017年に多発性骨髄腫を発病した著者。一年前に長男が誕生したばかりでした。ガンであることを公表してから、多くの人から励ましや応援、そして宗教の勧誘のメッセージまで送られてくるなかで、予想外だったのは数多くの“人生相談”が送られてきたこと。「友人と同じ人を好きになった」や「自殺したい」など身を切られるような相談に、タイトルの通り、「なんで僕に聞くんだろう」と呟きながら答えます。すべての相談は息子からの相談だと思って答えていく著者。たくさんの相談とその回答を見ていくうちに「人生相談と回答の言葉には、その人の人となりがあらわれる。」ということに気づきます。
(Y.M) 
『コープス・ハント』『去年の雪』
下村 敦史/著   KADOKAWA

 8人の女性を殺害したとして逮捕された浅沼は、黙秘を貫いていました。判決が下される日、死刑を言い渡された浅沼は傍聴席に向かって「罪に問われているうちの1件は、俺の犯行じゃない」と発言します。さらに真犯人たちを知っていて、そのうちの1人を殺し“思い出の場所”に隠したと叫んだのです。
 世間では、真犯人とされる人物の“コープス・ハント(遺体捜し)”をする者が増加。夏休みを利用して、遺体捜しを始めた中高生の動画配信者3人がたどり着いた場所に遺体はあったのか?事件の真相を突き止めようとする女刑事が真実を知り、すべてが1本の線で繋がったとき、驚愕の結末を迎えます。
(Y.U)
江國 香織/著   KADOKAWA

 それはまるでビッグバンのように、ショッキングな人の死から始まった物語―…と、思いきや、2ページ足らずで終了。その後引き続く、ある夫婦の会話、待ち合わせをする若者の話、もののけを見た貴人の話…などなど、突然始まり儚く消えていく様は、まるで「去年の雪」と言わんばかりの物語たち。その数は、100編以上に及びます。
 登場人物たちの何気ない日常を描いたこれらの物語は、一見関係がないようでどこかで結びついており、ときには時空を超えてお互いに繋がっています。その繋がりは、私たちの「こちら側の世界」にまで及んでいるかのよう…。
 さて、最後の一編を読み終えたときに見えてくるものは、一体何でしょう。日常から非日常への落とし穴はこちらです。
(A.K)
『古関裕而 応援歌の神様』『働くコンパスを手に入れる』
長尾 剛/著   PHP研究所

 古関裕而という名前に聞き覚えがない人も、甲子園でおなじみの名曲『栄冠は君に輝く』やプロ野球の巨人軍の歌『闘魂込めて』、阪神の『六甲おろし』と聞くと、「あの曲だ!」と分かる人は多いと思います。
 この本は、日本人なら一度は聞いた事のある名曲の数々を作曲した昭和を代表する作曲家・古関裕而の生涯にスポットがあてられています。古関と音楽との出会い、デビューまでの道のり、また同じく昭和を代表する作曲家の一人でもある古賀政男との出会い、そして愛する妻・金子との絆など、彼の生涯にせまります。
 (A.U)
田中 翼/著   晶文社
                
 社会人のために、職業体験という<旅>を提供している「仕事旅行者」。旅のように見知らぬ職場でたくさん出会い、そこで得た学びを仕事や働き方に活かしてほしいとの著者の思いが込められています。
 現代は「仕事に自信が持てない」「将来が見通せなくて不安」など、職業迷子が増加しているそうです。そんな彼らが自分らしく働くためにも「仕事旅行ならではの学び」は注目されています。
 この本に登場するのは11人の仕事人ですが、受入れ先は製造業からサービス業まで170種以上。「好き」を形にしたり、アイデア溢れる発想で価値を生み出したり、働き方のヒントが詰まっています。
(R.K)