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おすすめの本
 

No.662 平成31年10月

『虎を追う』『私の大往生』
櫛木 理宇/著  光文社 

 元刑事の星野誠司は、死刑囚の男が獄中で亡くなった事を新聞で知り、胸のつかえがさらに増しました。獄死した男は、30年前の殺人事件で二人の男が逮捕され、死刑判決を下されたうちのひとりでした。当時からその事件の捜査に疑念を抱いていた星野は、孫の旭たちとSNSやテレビの力を駆使し、改めて事件の真相を探ろうと奔走します。
 そこへ、「虎」と名乗る事件の真犯人と思しき人物から挑発的なメッセージが届くのでした。
 登場人物のそれぞれの人となりが伝わってきて、一緒に事件を追っているような感覚にとらわれて、作中に引き込まれていきます。
(Y.O)

週刊文春/編  文藝春秋

 年齢を重ねると、自分の周りに現れる「死」。今生きている人が誰ひとり体験したことのないことなので、「死」については不安が先行する人が多いかもしれません。
 この本は、年齢を重ね、いろいろな経験を積んできた各界の著名人たちが、自分の死に対してどのように考えているのか、自分なりの「死に際」について答えたインタビュー集です。その後実際に亡くなられた方もおり、傍にいた家族や仕事仲間に「死に際」についてインタビューを行っています。
 改めて、自分の人生の閉じ方について考えさせられます。
(A.U)

『わたしの良い子』

『ようこそ「料理が苦痛」な人の料理教室へ』
寺地 はるな/著  中央公論新社

 突然「沖縄に行く」と言って家を出た妹の一人息子、朔と暮らすことになった主人公の椿。
 朔は周りの子供たちと同じことが出来なかったり、興味があることに気を取られて宿題をしなかったりと、彼女が思うようには言うことを聞いてくれません。椿はそんな朔に苛立ちながらも、世間や周りの親が言う“良い子”とはなんなのか、朔の実の母親ではないことや、自分の仕事や結婚に対しても悩み続けます。
 いくつもの葛藤を抱えながらも、共に成長していく二人に胸が熱くなる一冊です。
(Y.U)
本多 理恵子/著  KADOKAWA

 食べることが好きだけど、料理するのはイヤ。レシピどおりに作っても、ちょっと違う料理になってしまう、そこのあなた!考え方を変えてみませんか?ひらめきと工夫で、苦痛に感じる料理のあれこれを解決します。
 調理時間や経済的な問題と料理との向き合い方、気持ちの持ち方や献立のたて方などなど、料理を苦痛に感じてしまう“苦痛のタネ”を、目からウロコのやり方で乗り越える方法が満載です。
 罪悪感や自己嫌悪が薄れていく、斬新な料理の本、おすすめです。 
(Y.N)
『図解早分かり!今こそ知りたい「賞味期限」の新常識』『聞こえているのに聞き取れないAPD聴覚情報処理障害がラクになる本』
宝島社

 このところ、消費増税の話題ばかりが取りざたされていますが、増税とともに2019年10月1日からスタートしたのが「食品ロスの削減の推進に関する法律」。まだ食べることのできる食品が大量に廃棄されているという現状を踏まえ、食品の流通に関わる国や自治体、関係者などが主体的にこの課題に取り組むことを謳ってあるのです。
 この本には、さまざまな食品ごとに標準的な賞味期限が記載されています。保存状態や食品の特性によって、品質の変化の度合いは異なりますが、本当の賞味期限を知って食品ロスの削減へつなげたいものです。賞味期限を正しく知ることがお得な生活への第一歩になります。
(R.K)
平野 浩二/著  あさ出版

 「APD(聴覚情報処理障害)」という病気をご存知でしょうか?耳鼻科医のなかでもまだまだ認知度が低く、おそらくほとんどの方が聞いたこともない病気だと思われます。
 「聞き間違いが多い」、「音は聞こえているのに言葉が聞き取れない」、「うるさい場所では相手の話が分からなくなる」といった症状は、もしかしたら
APDかもしれません。
 まずは、最初に記載されているチェックリストで
APDかどうかの可能性を探ることができます。また、APDとどうつきあっていくか、いろいろな工夫が記されています。
 日常生活で聞こえに関してお困りの方、または困っている人に関わる方へおすすめしたい本です。
       (A.K)