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おすすめの本
 

No.655 令和元年6月

『めぐり逢いサンドイッチ』『虫ぎらいはなおるかな?』
谷 瑞恵/著  KADOKAWA  

 清水笹子と妹の蕗子は、サンドイッチ専門店「ピクニック・バスケット」を営む仲良し姉妹。
 ある日、お店自慢の卵サンドが、手つかずのまま、公園のごみ箱に捨てられた事を知る二人。食べれば懐かしく、ふんわり笑顔になれる美味しいサンドイッチなのになぜ…?
 苦くつらい記憶や切ない思い出も、美味しい具材とともにふんわりと包み込んでくれる笹子のサンドイッチ。そんなサンドイッチを通して人々の思い出の味と心が行きかう、優しく美味しい短編物語です。
 
(M.T)
金井 真紀/文と絵  理論社

 虫ぎらい歴40年以上の筆者は、このままではいけないと一念発起し、虫ぎらいを克服する旅に出ます。そこで、さまざまな形で昆虫に携わる、昆虫の達人たちの取材を行います。
 教育学者や芸術家、認知科学者など色々な立場からの斬新な虫の捉え方が、虫ぎらいに勇気を与えてくれるようです。虫だけではなく、苦手なことを克服したい方には、新しい視点を届けてくれる本です。
 さて、この本の筆者は虫ぎらいを克服できたのでしょうか?   
(A.K)

『ライフ』

『くぅとしの』
小野寺 史宜/著  ポプラ社

 大学時代からアパート暮らしを続けている幹太。当時は同じアパートに友達も住んでいましたが、今は隣人たちとのつながりもなく、一人気ままに暮らしています。
 そんな平穏な幹太の暮らしに、ひょんなことがきっかけで知り合った、上の階の住人たちが入り込んできたのです。彼らとの付き合いに戸惑っていた幹太ですが、育児や夫婦喧嘩などの話を聞かされていくうちに、つながりは深くなっていきます。
 27歳、独身。一人でも生きていけると思っていた男性に訪れた変化とは? 
(R.K)
晴/著  辰巳出版

 歩道をさまよっていた老犬、足元をサッと通り過ぎ目の前でへたり込んだ子猫。彼らは晴さんの家族の一員となりました。そして、それぞれ「しの」と「くぅ」という名前を付けてもらいました。
 子猫のくぅが一方的にしのを気に入り、しつこいくぅに根負けしたしの。仲良しになった二匹は穏やかに日々を送っていました。やがてしのが認知症を発症し、初めは見ているだけのくぅでしたが、しのに寄り添い、体を支えるなどして歩行の介助をするようになりました。そんな二匹の愛情あふれる姿が多くの写真で紹介されています。   

(Y.O)
『歴史を変えた100冊の本』『旅の空からでっかい空をながめる』
スコット・クリスチャンソン/著
コリン・ソルター/著  エクスナレッジ


 古くは、紀元前2800年頃の『易経』から、2014年出版の『これがすべてを変える-資本主義VS.気候変動』まで、宗教の基盤になった本や、宗教に挑んだ科学書、文学界に新風を吹かせた小説など、歴史を変えた本が紹介されています。
 最初から最後まで目を通すと、言葉の力が歴史を形成するさまが目に見え、はるかな旅をしてきたような気持ちになります。気になる時代や作家だけをピックアップして読むのもアリです。
 
(A.K)
椎名 誠/著  新日本出版社

 海外の取材先で出会ったのは、大人も子どもも笑顔で暖かく迎え入れてくれる人達。一方、美人だが一切笑顔を見せることがなかった店員のいる画廊での思い出は、著者にとって苦いものとなった。その他にも日本の島めぐり取材では、人口減少に伴い、島外の人達を受け入れて存続している島で伝統文化に思いをはせるなど、旅先で大きな空を眺めながら著者が感じたままを綴った一冊。
 世界を股にかける作家・椎名誠の心に残った旅を、写真とエッセイでたどってみませんか。
 
(Y.E)