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おすすめの本
 

No.654 令和元年6月

『錦絵解析 天皇が東京にやって来た!』『百花』
奈倉 哲三/著  東京堂出版

 日本史上、初めて天皇が東京にやって来た!新しい「権威」である天皇を、江戸の民衆たちは、どのように迎え入れたのでしょう?
 戊辰戦争の混乱のさなか、倒幕勢力の企図で実行された天皇行幸の様子を、当時の絵師たちはいろんな視点から錦絵に残しました。
 想像図や記念図など、色美しい錦絵は、当時の状況や情報をつぶさにいまに伝えます。これから読み取る史実とは?民衆や絵師たちの心情とは?さあ、一緒に読み解きましょう。
(Y.N)


川村 元気/著  文藝春秋

 主人公の泉は生まれた時から父親の存在を知らずに育ってきました。そんな彼が成人し、家を出て、結婚。もうすぐ父親になろうとしています。 
 一方、彼の母は、当時いくつかの不運が重なり、ひとりで子どもを産み育てることを決断。ピアノ教師として生計を立て、息子と二人だけで生きてきました。そんな母が、深夜に電話をしてきたり、食パンを3斤も買いためたり、少しずつ以前の母とは変わってきたのです。
 母の「老い」を感じ、母の異変を目の当たりにした彼は、それまで封印されていた過去の出来事と向き合うことになります。
(R.K)

『サラリーマン川柳 くらだし傑作選』

『平安ガールフレンズ』
やくみつる 他/著  NHK出版

 1987年にスタートし、今の川柳ブームの先駆けともいえるサラリーマン川柳。その年の時世を色濃く映し、ウィットにとんだ川柳の数々が毎年話題となります。
 今回で32回目。平成最後のサラ川はあのヒット曲を取り入れた「五時過ぎた カモンベイビー USAばらし」や悲哀を感じるような「インスタで 妻のランチを 二度見する」など、今の時世を反映した、多種多様な川柳が選ばれています。
 あなたもサラ川で、クスッと笑ってみませんか?
(A.U)
酒井 順子/著  角川書店

 今から約千年前の平安時代に書かれ、現在も読み継がれている平安女流文学。清少納言や紫式部などは、日本文学史に燦然と輝き続ける文学界の偉人です。そんな彼女たちが残した文学というとどことなくとても敷居が高いような気がします、でも、実は意外と現代の私たちにも共感するような想いが書かれていたりするのです。
 今宵は平安女子たちと一緒にガールズトークを楽しんでみませんか?

(A.U)
『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』『偽りの春 神倉駅前交番狩野雷太の推理』
三浦 英之/著  小学館

 陸上で最も大きく、優しい目と器用な長い鼻が特徴のゾウは、動物園の人気者で私たちにとって身近な動物です。しかし、大草原が広がっているアフリカでは、象牙を目的とした密猟が横行し、野生のアフリカゾウが絶滅の危機にさらされています。
 2014年に「サタオ」という大きな牙を持ったアフリカゾウが何者かに殺されたのをきっかけに、新聞記者だった著者はアフリカゾウの密猟問題に深い関心を抱き、その後約二年半にわたり取材を続け、本書を著わしています。著者は、日本人のアフリカに対する無自覚、無関心がアフリカゾウの絶滅を招いていると訴えています。
 
(Y.O)
降田 天/著  KADOKAWA

 高齢の男性を標的にした詐欺グループのリーダー光代のもとに、仲間の一人から「メンバー二人が騙し集めた金を持って逃げた」と電話がかかります。光代はある事を成し遂げたら、この土地から離れようと決めていた矢先の出来事でした。さらに『これまでのことを黙っていてほしければ、一千万円用意しろ』という何者かからの脅迫状が自宅の郵便受けに入れられており、今以上にお金が必要だと感じた彼女は一人でさらに罪を重ねるのですが…。
 過去に『落としの狩野』と呼ばれていた警察官狩野と容疑者達の対峙がテンポよく展開される5つのミステリー短編集です。
 
(Y.U)