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おすすめの本
 

No.653 令和元年5月

『友達未遂』『一字違いの語彙力』
宮西 真冬/著   講談社

 全寮制女子高・星華高等学校には、「マザー」である3年生が、自分の「チャイルド」の新入生と寝食を共にしつつ、ルールやマナーを教える「マザー制度」があります。
 ある2組のマザーとチャイルドである4人の少女たちは、友達ですらない、ただのルームメイト。学校の寮で次々と発生する不審な事件に対峙したとき、彼女たちは自身の運命にも向き合うことになります。
 この本の帯(本の最終ページに貼付)には、「第52回メフィスト賞作家が仕掛ける“友情”という名のワナ。」と書いてありますが、この文言こそ“ワナ”です。自分のことで精いっぱいだった少女たちが他者に目を向けるまでの心の動きが精緻に描かれ、最後は世界観がひっくり返ります。お楽しみください。
(A.K)
山口 謠司/著   さくら舎

 日本語には四字熟語や慣用句など、漢字が使われる言葉が多いのですが、漢字や読み方が一字でも違うと意味が変わったり、反対の意味になったりすることがあります。この本では「どこか違和感のある」と思った言葉を間違えやすい例と比較しながら紹介しています。 
 さて、表紙に書かれている例題「肝にめいじる」は、「命」と「銘」どちらの漢字を使うのが正しいのでしょうか。このような問題がぞくぞく登場してきますが、正解と合わせて、言葉の由来なども解説していますので、思い出しながら学びなおすことができます。
 「ちょっと恥ずかしい勘違い語」や「似ているだけにひっかかるトラップ語」など、読み進めていくうちに、あいまいになっている一字違いの言葉が改めて見つかることでしょう。
(K.S)

『秘蔵古写真 幕末』

『平成家族』
日本カメラ博物館/監修   山川出版社

 江戸時代末期頃に日本に入ってきた写真。その文明の利器は、大きな時代の波が押し寄せてきていた時代に生きた人々の、姿や風景を私たちに残してくれました。
 黒船と共にやってきた人々や、海を渡った人々。そして、激動の幕末から明治維新後の政治の中枢で動いていた人たちの姿まで。
  平成元年に開館した日本カメラ博物館が、今まで収集してきた古写真の中から、特に歴史的にも貴重な写真を集めました。歴史の教科書でしか見たことのない人々の姿を写した写真からは、その当時の人たちの息遣いが感じられます。

(A.U)
朝日新聞取材班/著   朝日新聞出版社

 国民的アニメと言える「サザエさん」は、大家族で食卓を囲み、一家団らんの風景が描かれ、昭和の家族の象徴のような作品です。しかし、時を経て社会や人びとを取り巻く環境の変化と共に、家族の形態も多様化してきました。今や「サザエさん」の家族像は色褪せつつあります。
 本書では仕事やお金、結婚、出産、介護など様々な問題を抱えながら暮らしている人々の生の声を聞き、平成の家族の実像を問い直しています。 
 「家族とは?」新たな時代になっても、考え続けることを忘れてはならない私たちの永遠の課題です。 
 
(Y.O)
『その子の「普通」は普通じゃない』『歩き続ける力』
富井 真紀/著   ポプラ社

 著者の富井さんは、宮崎県で生活困窮世帯の子どもたちを支援する会社を経営しています。自らも母親は蒸発、父親はパチンコ浸りという親の愛情のない貧困家庭で育ちました。その経験から子どもが貧困の連鎖から抜け出すには、第三者の助けが必要だということを実感し、少しずつ活動を広げてきました。
 「できることを、できる人が、できることから」をスローガンに、子どもたちを本気で守るために全力で活動する様子が綴られています。
 
(N.K)
三浦 雄一郎/著   双葉社

 著者は現在86歳。プロスキーヤーとして活躍後、70歳を過ぎてから世界最高峰のエベレストに3度登頂。さらに今年、南米大陸最高峰のアコンカグアを目指すなど、彼の人生は挑戦の連続です。
 そんな過酷な状況に立ち向かうため、激しいトレーニングを行っているのでは?と思いがちですが、彼は自称「ズボラでナマケモノ」。すべては「一歩」の積み重ねだと言い、常に次の目標を持って行動しているそうです。果たして、彼が歩き続けるために力をつけようとやっていることとは? 
   年齢を重ねても自分の足で歩くためのヒントが満載です。 

(R.K)