平成30年12月号



田中友子/文 大畑いくの/絵 BL出版

  むかし、はたらきものの七人(しちにん)兄弟(きょうだい)がいました。ある日(ひ)、兄弟(きょうだい)のはたけのそばを王(おう)さまがとおりかかります。王(おう)さまは顔(かお)もせたけもそっくりの七人のわかものにおどろき「つれてまいれ」といいました。七人の名前(なまえ)はみなシメオン、土地(とち)をたがやしくらしていました。兄弟(きょうだい)の一番上(いちばんうえ)のシメオンは天(てん)までとどく鉄(てつ)の柱(はしら)をたて、二番目(にばんめ)はその柱(はしら)にのぼり四方(しほう)のはてまでみわたせます。船(ふな)のり、弓(ゆみ)の名人(めいじん)と、兄弟はわざをもっていました。末っ子(すえっこ)は笛(ふえ)をふくのがとくいです。兄弟は王(おう)さまにわざをみせました。二(に)番(ばん)目(め)が四(し)方(ほう)をみわたすと、黄(おう)金(ごん)の宮(きゅう)殿(でん)にエレーナ姫(ひめ)がみえました。
王(おう)さまは兄弟(きょうだい)に姫(ひめ)をつれてくるようめいじたのです。




ななもりさちこ/作 こばようこ/絵 こぐま社

 こだぬきポン吉(きち)の家(いえ)は、つきなみ山(やま)にある化(ば)けるけいこをする、たぬばけ道場(どうじょう)です。 ポン吉(きち)は毎日(まいにち)けいこをしますが、化(ば)けるのがへたで、しかられてばかり。
 ある日(ひ)、ポン吉(きち)は草の上(くさのうえ)で、まるまってねむっていました。山(やま)のてっぺんで、オオカミのはらどけいがひびきます。おいしそうなにおいがながれてくると、バス停(てい)のベンチに、紙(かみ)ぶくろがひとつありました。茶色(ちゃいろ)くてまるくて、トゲトゲしたものがはいっています。ひと口(くち)かじったオオカミは「うまい!」とぜんぶ食(た)べ歩(ある)きだしました。もっと食(た)べたいオオカミは、とびきりでかい茶色(ちゃいろ)くて、まるいものを見(み)つけます。それはねているポン吉(きち)でした。

        低学年から

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市川宣子/さく さとうあや/え 講談社

 ケイゾウさんは、にわとりです。ケイゾウさんの家(いえ)は、幼稚園(ようちえん)の庭(にわ)にあります。小さな家(ちいさないえ)ですが、先生(せんせい)が季節(きせつ)にあわせて場所(ばしょ)をかえてくれるので、なかなかいごこちのいい家(いえ)です。いっしょにくらすのは、うさぎのみみこです。ケイゾウさんは、しんしんとおなかがつめたくて目(め)をさましました。冬(ふゆ)は、にわとりの仕事(しごと)にはつらい季節(きせつ)ですが、ケイゾウさんは毎朝(まいあさ)せっせと時(トキ)をつくります。さて、と羽(はね)をひろげ足(あし)をふんばろうとすると、足(あし)が動(うご)きません。ゆうべの雨(あめ)がこおって足(あし)をとじこめていました。ケイゾウさんは、くちばしで氷(こおり)をたたきわり、「こけこっこー!」けさの仕事(しごと)をやりとげました。やがて、まっしろな朝(あさ)がきました。   




廣嶋玲子/作 佐竹美保/絵 静山社

 あまりにも愛(いと)おしいものだから、こわれてしまっても捨(す)てられない。思い出(おもいで)がつまっている品(しな)だから大事(だいじ)に保管(ほかん)しておきたい。そんなお品(しな)がございましたら、十年屋(じゅうねんや)にいらしてください。あなたの想(おも)いとともに、お預(あず)かりします。リリは亡(な)くなった母(かあ)さんが作(つく)ってくれたうさぎのぬいぐるみをだきしめました。名前(なまえ)はスノボン、15歳(さい)の今(いま)でも大切(たいせつ)な友達(ともだち)で宝物(たからもの)です。リリはスノボンとずっと一緒(いっしょ)と決(き)めています。でも、リリに新(あたら)しい母(かあ)さん、ナラさんがやってきてから家(いえ)の中(なか)が変(か)わりだしました。母(かあ)さんが残(のこ)したものが少(すこ)しずつ消(き)えているのです。スノボンも捨(す)てられそうです。リリがスノボンを守(まも)る方法(ほうほう)を考(かんが)えた時(とき)、窓枠(まどわく)に「十年屋(じゅうねんや)」と書(か)かれたカードがはさまっていて…。