★1面

絵本と中学生

  伊万里市教育長 松本 定

 
私はずっと小学校で教師を務めてきましたが、退職前の最後3年間だけ中学校に勤めました。
中学校の校長として2年目。なかなか教室に入れず別室で学んでいる子どもたちが終業式に参加すると聞き、この子たちと全校生徒に応援のメッセージを届けたくて、式の中で「だいじょうぶ だいじょうぶ」を読もうと思いました。不安や心配があっても、おじいちゃんの「だいじょうぶ だいじょうぶ」の言葉で成長していく子供の絵本です。
“中学生に絵本を読む”ことはどうなのかと自問しながらも、読みたい気持ちが勝りました。成長した男の子がベッドのおじいちゃんに語り掛ける「だいじょうぶ だいじょうぶ」の場面では私も声が詰まりましたが、静かに聞いていた全校生徒から、思いもよらず多くの拍手をもらい、中学生にも絵本の心が届いたことを確信しました。
 その後も、いじめやからかいを感じた時に「からすたろう」を、真に美しい心を感じ取ってほしいと思った時に「泥かぶら」を読みました。生徒たちは実にやさしい顔で聞いてくれました。
 そして、いよいよ退職直前の最後の卒業式。実はいつか読みたいと思いながら機会を逸していた絵本があり、それを中学校卒業式の式辞に読むことは果たして間違ってないのかと迷いました。しかし、どうしても読みたくて、大好きな絵本「ちょっとだけ」を卒業式で読むことにしました。生まれた妹にかかりっきりのお母さんを見ながらひとりで懸命に頑張る女の子、その成長をひそかに応援しながら最後にしっかり愛情を注いでくれる母親。親子が伝えてくれるメッセージは、卒業生にも、在校生にも、そして保護者の皆さんにも届いてくれたかと思っています。        
 全校朝会や始業式、終業式、そして卒業式でも中学生に絵本を読みましたが、思春期、反抗期を迎えた中学生にとっても、絵本の力は大きいと感じました。

 
PAGETOP

 

★2面(1)

肥前さが幕末維新博覧会プレイベント ミステリー作家トークショー

 
 11月10日(土)、日本のミステリー界を代表する4名の作家が、伊万里市民図書館に集いました。これは、現在、佐賀県内で開催中の「肥前さが幕末維新博覧会」関連事業として開催された「伊万里市の日」のプレイベントで、図書館とトークショー実行委員会の共催で行われたものです。

 まずは自己紹介から始まり、先生たちがどのような形でミステリーとの付き合いが始まったのかという話題に移りました。有栖川先生の小学生時代を筆頭に、比較的早い段階からミステリーと出会い、作家を目指していたということでした。また、竹本先生はもともと漫画家志望。漫画家の萩尾先生にも影響を受けているという話もされていました。
 後半は、それそれが執筆している小説の名探偵たちの話や、携帯やスマホが登場してミステリーに与えた影響など、興味深い話で盛り上がりました。最後に先生方の今後の出版予定などの話があり、ミステリーファン大満足といえる90分間のトークショーでした。
 その後のサイン会にもたくさんの方が参加。お目当ての作家さんの本を手に嬉しそうな表情で並んでいる姿が印象的でした。


ミステリー作家トークショーの様子
※当画像の無断転用・無断使用はご遠慮ください。
左から

竹本健治さん
 代表作ウロボロスの偽書
 武雄市在住です。漫画家志望でした。

綾辻行人さん
 代表作十角館の殺人
 幼い頃、江戸川乱歩のようになりたかった。

法月綸太郎さん
 代表作生首にきいてみろ
 実は、奥さんが司書の有資格者です。

有栖川有栖さん
 代表作女王国の城
 この佐賀の旅で47都道府県宿泊達成!!

 

★2面(2)

お宝発見 古本市


 トークショーに登壇した作家をはじめ、多くのミステリー作家の提供による古本市。11月10日(土)午前10時より開催されました。
 開館と同時にたくさんの方が来場され、会場は熱気に包まれました。一冊、一冊吟味しながらお目当ての本を探す、ファン同士による交流があちこちで見られました。やはり、作家本人の本は人気があり、笑顔あふれる会場となりました。伊万里市外からの来場者も多く、それぞれのファンの方たちにとって、古本市も満足していただけたのではないかと思います。
 ミステリーを読んだことのない私も、読んでみようかなと思った古本市になりました。
 図書館フレンズいまり 井樋有希

 
PAGETOP

 

★3面

親子ワークショップ 森永太一郎ゆかりの地を巡る


 11月10日(土)「肥前さが幕末維新博」のプレイベントとして、「森永太一郎ゆかりの地をめぐる」と題した親子向けワークショップを開催しました。4組10名の参加があり、伊万里が生んだキャラメル王・森永太一郎ゆかりの地を約2時間かけて巡りました。
 紙芝居で太一郎の生涯を学んだ後、実際に伊万里の街へ飛び出し、太一郎生誕の地やお菓子の神様が祀られている伊萬里神社、練乳工場があったという森永公園へ。いつも食べているお菓子と伊万里の関係を知った子どもたちは驚いた様子で、楽しく学んでくれたようでした。
 これをきっかけに森永太一郎や伊万里について興味を持ち、さらに図書館を利用してくれたら、と願います。
親子ワークショップの様子



謎解きイベント終了


 図書館では、10月16日から11月21日まで、作家・竹本健治さん監修の謎解きイベントを実施しました。これは、伊万里の偉人・森永太一郎を顕彰しつつ、「消えたミルクキャラメルの謎」を解き明かそうというものです。
 難易度の高いこの謎を最初にクリアできたのは、小学校6年生とお母さんの親子。制限時間は90分でしたが、10分を残して余裕で ゴール。「とても難しかったけど、面白かった。」という子どもに対し、母親は「最初、私は乗り気でなかったけど、解き始めると息子もノッてきて、息子のひらめきでゴールできた。一人ではとてもクリアできなかったと思う。」とのこと。
 期間中、延べ188名(102組)の参加がありましたが、クリアできたのは39名(19組)でした。ゴールまでたどり着けなかった方、また、どのような謎が隠されていたか気になる方は、図書館ホームページで解答を公開しています。


学校図書館電算化スタート


 伊万里市内の小中学校には、それぞれ図書室(学校図書館)があります。昨年度、多額の寄附を受けて、蔵書の充実が図られました。今年度は、パソコンを使って図書館の本を管理するシステムが使えるよう、全ての学校図書館で整備しています。
 これまでは、本を自借りるたびに、自分のカードへタイトルや返す日を書き込んでいましたが、市民図書館で行われているように、バーコードをなぞるだけで本の貸し出しや返却ができるようになります。また検索機能もあり、これまで記憶に頼って探していた本も、簡単に探すことができます。今後は学校図書館と市民図書館の連携に向けて、サービスを拡張していく予定です。

バーコードをなぞる児童たち

 
PAGETOP

 

★4面(1)

平成30年度 公共図書館司書表彰


 当館の古賀直子さんが佐賀県公共図書館司書表彰を受けました。これは、住民の読書活動や図書館運営に長年にわたって貢献してきた司書に贈られるもので、司書業務の顕彰を目的として県が昨年度から実施しているものです。昨年の10人に続き、今年は6人が県庁で表彰されました。
 10月26日に行われた表彰式では、山口祥義県知事が受賞者の功績を読み上げ賞状を手渡しました。
 「一緒に働くみんなでもらった賞だと思うので、今後も図書館員が一丸となって市民に愛される図書館になるよう頑張りたい」と抱負を語った古賀さん。より一層、みなさんに頼りにしてもらえる図書館をめざします。
 

本の福袋


 いよいよ今年も残りわずかとなってきました。この時期恒例の図書館の福袋が今年も登場します。楽しみにしてくださっている方も多く、昨年は一般書・児童書あわせて200セット以上の利用がありました。今年も平成の最後を飾るにふさわしい(?)福袋をさまざまなテーマで準備しています。みなさんのご利用をお待ちしています。
☆期間 12月14日(金)~平成31年1月6日(日)  
☆お一人様1セット 


 
PAGETOP
 

★4面(2)

図書館員おすすめの本


鎌倉の家』 甘糟 りり子/著  河出書房新社
   
 鎌倉に古くから建つ、数寄屋造りと合掌造りが組み合わさった変わった造りの日本家屋で、著者は幼少期から過ごしてきました。木々に囲まれた広い庭での食事会、楽しみにしていた五右衛門風呂、住み慣れた鎌倉の町の心落ち着く情景。
 普段は便利なものに囲まれて生活していても、私たちは“自然”と共存しながら生きていているのだと、気付かされます。寒くなったこの時期に、ぽかぽかと日当たりの良い場所で読みたくなるエッセイです。

 
PAGETOP

 

★4面(3)

利用状況(平成30年8月・9月)

伊万里市民図書館利用点数
(月別)
8月
(開館:27日)
9月
(開館:24日)
市民図書館(公民館含む)29,52529,605
自動車図書館(ぶっくん)6,243点13,371点
全館合計35,76842,976
 
PAGETOP