平成21年12月号



小松 左京/著 (ポプラ社)

 ヨーロッパで流行しだした恐ろしい“悪魔風邪”は、脅威の感染力で瞬く間に世界中に広がり、人類は、南極にいた一万人を残すのみで、死滅してしまう。しかし、人種や国を超えて、残された人々は協力し合い、悪魔風邪に効く「RSS65ワクチン」を開発する。
「日本沈没」で有名な小松左京氏が、昭和39年に書き上げた作品ですが、現在の情勢にぴったりマッチして、ドキドキの展開に引き込まれてしまいます。



江國 香織/著 (偕成社)

 山のふもとの、小さなしずかな美しい村のはずれに、雪だるまの雪子ちゃんはひとりで住んでいます。
雪子ちゃんは正真正銘、野生の雪だるまです。ある日、空から降ってきて、百合子さんのお隣のあばらやに、住みつきました。
夏の間は休眠して、冬の季節だけ目覚めているのです。小さなことにも目を輝かせ、生きる喜びを体中で表現する雪子ちゃん。
著者の江國さんが、長年、大切にあたためてきたやさしいお話です。



(ポプラ社)

 戦国時代から江戸時代にかけては、数々の名将が出現しました。織田信長や豊臣秀吉、徳川家康はもちろん、武田信玄、上杉謙信、真田幸村など。
第一部の武将列伝では、69人の活躍を一人ひとりのイラストと共にわかりやすく解説しています。
また、第二部では、桶狭間の戦いなど22の有名な戦いを取り上げ、合戦図、開戦のきっかけ、背景、注目エピソードなど、読み進めていけば、たちまち日本史通になる一冊です。



篠原 美季/著 (講談社)

 横浜、居留地五十八番地。馬車や人力車が行きかう本町通りに面して、二階建ての洋風建築が建ち並ぶ一角に、深川芭介が経営する西洋骨董店「時韻堂」はあった。
あやしげな品々を持ち込む貫太郎。そして、貫太郎の死。行方不明の少女。芭介のまわりに事件が巻き起こる。
今年、開港百五十周年を迎えた横浜、その開港前後を舞台に地元生まれの著者が、思いを込めて描いた作品。