平成26年3月号



星の王子さまと10人の探究者たち/著 講談社

 わがままな一輪のバラに嫌気がさした星の王子さま。星々を渡り、地球にたどり着きました。そこで親友になったキツネから「たいせつなことは、目に見えない」と教わり、星に帰ります。
七十年後、「目に見えないたいせつなもの」が何かを見失い、再び地球にやってくるのですが・・・。
王子さまが、宗教学者・統計家・芸術家など、各界代表の住人の探究者とともに、目には見えないが心や体で感じるたいせつなことについて語り合います。



岩宮 恵子/著 筑摩書房

 「となりのトトロ」や「千と千尋の神隠し」など、宮崎アニメの作品の多くは、年齢の枠を超えて多くの人に支持されています。
著者は臨床心理士として、思春期の子どもたちからいろいろな相談を受けています。その中で出てくるのが宮崎アニメの話題。子どもから大人になる時、子どもたちの心の中ではどのようなドラマが展開されているのでしょうか。なかなか言葉にできない思春期の心の奥を見つめるため、いくつかの宮崎アニメを著者が独自の目線で分析しています。
著者自身、子どもの頃に見たアニメが思春期に大きく影響しているという実体験もあり、好きなアニメについて話すだけでも見えてくるものがあるのだそうです。
あなたが好きな宮崎アニメは何ですか?そしてその奥には、思春期のどんな心理が隠されているのでしょうか。



吉富 多美/著 金の星社

 中学に入学した倉沢海は、初めての親友・田淵晴香との出会いで楽しい新学期を迎えていた。海は両親の離婚で母と二人で貧しい生活を強いられ、一方、晴香は裕福な家庭に育った。しかし、晴香の中学受験失敗で母の態度は激変。海だけが心を開ける相手になっていた。
そんなある日、海からのメールの返事が減っていったことに苛立った晴香は、ラジオ局の南條佐奈に海への「いじめ予告」メールを送った。佐奈はその衝撃的な内容に「心のSOS」ととらえ、ラジオを通して語りかける。しかしその願いは届かず、いじめはだんだんエスカレート。海は自殺を考えるまで追い込まれてしまう。
現代の中学生にありがちな友人関係・家庭環境・いじめ問題。今の世の中をストレートに表現した重みのある作品です。



那須田 淳/著 あすなろ書房

 アパートの大家・通称ケチルとは、二年前に引っ越してきてしばらくした頃から親しくなった。親戚のおじさんから譲ってもらったエレキギターを練習するために“隠れ家”を貸してくれたのがきっかけだ。それからというもの、ほとんど毎日のように隠れ家でギターのテクニックを磨いた。バンド仲間もいないぼくにとって、ケチルは唯一のパートナーだったのだ。
そして中学二年になった僕は、ケチルとの永遠の別れを迎えた。「おまえは、おまえのロックをやれ」と言った生前のケチルの言葉を大切に心に刻み、夏休みに一人で行ったベルリンでケチルとの約束を果たそうとする。