平成22年10月号



M・J・マウク/著 (フレーベル館)

 お父さんの肉屋を手伝っていた11才の僕は、ひき肉器に左腕を巻き込まれて、手首から先を失くしてしまう。全てをあきらめるようになる彼を支えたのは、親友レオンの存在と野球への愛情だった。マウンドに立つことを目標に、様々な工夫を重ね練習に励む主人公。そして、1年後のある日、ついに監督からピッチャーの指名が・・・。作者の夫の実話を基にした明るく、感動を呼ぶ作品。



有沢佳映/著 (講談社)

 修学旅行に行けない生徒達は、その間、学校でどんな生活を送るのだろう。中学3年の私・三浦佐和子は、修学旅行の直前に自転車にはねられて足を骨折してしまう。私の他にそれぞれ事情のある男2名・女3名は、一つのクラスに集まり、皆がいない自由な3日間を過ごすことになる。人見知りしがちな時間を経て、徐々に強まる仲間意識。保健室登校しか出来なかった秋吉君までも教室に呼び込んで、もう一つのささやかな修学旅行が進んでいく。さわやかな青春小説。



(小学館)

 「いいから いいから」の長谷川義史さんが描く「旅人とクマ」は、暗い森の中に倒れた人とクマの絵。「オオカミのごちそう」など大胆なタッチで有名な田島征三さんは、「オオカミとサギ」を描き出しています。黒鉄ヒロシさんは、「田舎のネズミと町のネズミ」。新井良二さんは、「キツネとヤギ」など182人の画家が182のイソップ物語を描いています。1ページ1ページに個性あふれる作品が満載の見ごたえのある一冊です。



桐光学園中学校・高等学校/編 (水曜社)

 自分が学んでいる中学校で、日本の「知の最前線」で活躍されている一流の大学教授に授業をしてもらえたら、どんなに嬉しいことでしょう。「21世紀の社会と電気自動車」「ジェンダー研究のすすめ」「素数ゼミの秘密」「百人一首の成立」などなど・・・・。神奈川県にある桐光学園で1年間にわたって実際に開講された17人の教授による授業が紹介されている一冊です。生徒達の目の輝きが増し、視線が上がっていくという講義内容を、ぜひ読んでみてください。