平成24年4月号



イアン・ベック/著 静山社

 主人公のトムは、おとぎの国に住んでいる冒険家トゥルーハート家7人兄弟の末っ子。一家はおとぎ話工房より届くあらすじに従って主人公として冒険に出発し、お話をエンディングへと導くことを家業としています。
ある日トムは、次々と出発したけれど帰ってこない兄さんたちを探しに出かけます。12歳の誕生日に、おとぎ話を終わらせるために、兄さんたちを探すために…。
「シンデレラ」「ジャックと豆の木」「白雪姫」「ラップンツェル」「眠れる森の美女」「カエルの王子さま」。トムは果たして6つのお話を「おしまい」にできるのでしょうか。



佐藤剛志・内田美智子/著 五月書房

 九州大学の先生である佐藤さんは、毎年ゼミの学生に「自分が生まれた日のことについての1600字のレポート」を課題に出しています。思春期真っ只中の学生たちは、恥ずかしさで一杯になりながら両親に尋ねると、親が自分が生れた時のことを嬉々として話す姿に、祝福されて生まれ、愛されていることに感動し、そのレポートを授業で朗読する時は、どの学生もみんな喜びに満ちた顔で泣き出してしまうのだそうです。
話題となった作品「いのちをいただく」のコンビと同じく助産師の内田さんと佐藤さんの著作。
あなたも家族で「生れた日」を語り、「生」を見つめ直してみましょう。



艸場よしみ/著 汐文社

 小学生のとき、いつもカメラを片手に持ち、沖縄の民話を題材にしたものなど30本もの映画づくりが遊びの一つだった中村颯悟君。そんな彼が、沖縄の観光を盛り上げるために募集された企画に選ばれたのは、中学1年のときでした。彼が作った映画「やぎの冒険」は、沖縄で7万人以上の観客を動員し、その後全国の映画館で上映されました。
 おこづかいを貯めてビデオカメラを購入し、2000円の映像編集ソフトで映画を作っていた彼は、日本史上最年少の映画監督となってからも、斬新なアイデアと次から次へと広がっていく興味を持って、大人の世界でがんばっています。



ミュリエル・ハリス・ワインスティーン/作 リーブル

 世界中のジャズとジャズミュージシャンに影響を与えた「ルイ・アームストロング」。まだまだアメリカで人種差別政策がとられていた1901年に生れ、もと奴隷だったおばあちゃんに育てられました。音楽の才能があったルイは、黒人少年院でコルネット(トランペットに似た金管楽器)に出会い、偉大なジャズミュージシャンとなっていくのです。
この作品は、ルイ・アームストロング・ハウス博物館の館長が「特に素晴らしい本だ」と評したルイの少年時代から本格的デビューまでを描いた伝記的物語です。