平成25年3月号



菅野彰/著 イースト・プレス

 会津藩砲術指南役の娘として生まれ、男勝りな八重は、慶應4年、新政府軍が会津に攻め入って来ることを知り、戊辰戦争で命を落とした弟の衣装を身にまとい、断髪して男装し七装式のスペンサー銃を担いで、鶴ヶ城に立て籠もった。しかし、一か月にも及ぶ奮戦むなしく、落城してしまう。
その後、兄を頼って行った京都で、キリスト教に感銘を受け、新島襄と出会い、恋に落ちる。
多くの反対を押しのけて、「等しいと思える、自由な道を歩くための、全ての人に、等しき学舎を」と同志社の創立に奔走した新島襄と八重。
激しく時代が動く時に、常に前に向かって「生きること」「愛すること」を選んだ「幕末のジャンヌダルク」こと新島八重の物語。



マリアトゥ・カマラ/スーザン・マクリーランド/共著 汐文社

 1986年、西アフリカの貧しいシエラレオネ村に生まれ、12才の時、内戦の反乱軍によって太刀で両手首を切断された少女は、さらに、難民キャンプで襲われ男の子を出産する。
20世紀における最も残酷な戦争の一つと言われるシエラレオネ内戦の犠牲となった少女マリアトゥの写真が、英米の新聞で報道され、援助を受けて救い出されるまでの痛ましい経験を、彼女自身が回想録として発表した作品です。
現在トロントの大学で学んでいる彼女は、ユニセフの「武力紛争下にある子どもたちのための特別代表」に任命され、広報活動を続けています。



山口花/著 東邦出版

 ほんの十数年前までは、犬といえば「番犬」だった。しかし、現在では大型犬でさえ、室内で飼われることが多くなり、大切な家族の一員として迎え入れられている。
一人暮らしの老人と犬。
認知症の家族を支える犬。
わが子と兄弟のように育つ片足のない犬。
母親を亡くした後の父娘家庭で、15年間過ごした犬・・・など。
本書の第1章では飼い主から愛犬へ、第2章では愛犬から飼い主への14のエピソードが紹介され、著者の山口さんが取材によって、ていねいに拾い集めた“飼い主と愛犬のキズナ”が描かれています。



山極寿一/著 くもん出版

 ゴリラ研究で有名な京大教授の山極寿一氏。
「両手で胸を叩くドラミングはゴリラの会話。顔をのぞき込むことでお互いの気持ちを読む。力が強いというだけでは、群れのリーダーにはなれない。」などゴリラの習性を調べるために、山極氏がアフリカ中央部のゴリラの国ルワンダに留学したのは、26年前の大学院生の時だった。その2年間に密に触れ合ったマウンテンゴリラの“タイタス”。内戦のために別れたのが8才、人間でいえば小学校高学年ぐらいだった“タイタス”に会いたい。ゴリラ博士と34才となった老年の野生ゴリラの感動の再開。人間と野生動物とのつながりを教えてくれる一冊。