平成29年4月号



椎野直弥/著 ポプラ社

中学校の入学式の日。「じゃあ、一人ずつ自己紹介してくれ」その言葉を聞いた瞬間ドクンと胸が鳴った。心の中でつぶやきながら試してみる。「柏崎悠太です。中央小学校から来ました。趣味は読書です。」言える、大丈夫、…やっぱり言えない。結局、具合が悪いふりをして保健室へ行った。はぁ、こうやって僕はずっと、しゃべるということから逃げ続けて生きていくんだろうか。
子どものころから「吃音症」に苦労してきた著者が、自らの体験をもとに書いた物語です。



河出書房新社

 「何も咲かない寒い日は下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く。」マラソン選手の高橋尚子さんが高校三年生の時に顧問の先生から言われた言葉です。
その後も折に触れ、「今やっていることは決して無駄ではない」と思い返してきた座右の銘だそうです。



エイミー・ウィッティング/作 岩波書店

イザベルは幼いころから実の母親に嫌われ、事あるごとになじられどなられて育ちました。イザベルが人に成績がよいことをほめられると、「外では天使で、うちでは悪魔、それがあんたよ」といった具合です。そんな母親から逃れるために、イザベルは読書にふけりました。ひとりになれる場所を探して一心に読みはじめると、誕生日を祝ってもらえない不満も、不公平に対する怒りも、母親の事もすっかり忘れることができました。



中島 たい子/著 筑摩書房

明日は運動会、明日は合唱コンクール、明日は遠足…という日の夜になると決まってぜんそくの発作が襲ってくる。そしてそうなると翌日はベッドの上にいるしかない。だからがっかりするのには慣れている。学校を休むことには慣れたけれど、体調がよくなって久しぶりに登校する日は苦手、なぜだか慣れない。そんなだから、勉強も運動も苦手。個性が大事って先生は言うけれど、私の個性って病気で学校をよく休むことかな?
こんな女の子が小学生から中学生、高校生になり、そして大人になってからの様子も描かれています。



栗山 さやか/著 岩波書店

田舎の普通の高校を卒業して、東京に出て適当に短大に通いながらバイトして遊んで、渋谷の109の人気ショップで働いていた頃は、どんどん服買って、舌ピアス開けて、髪を白や真赤にして、派手なネイル、日焼けサロン、外見ばかり気にしていた。
そんな元ギャルが一冊の本をきっかけに世界に飛びだした。60か国一人旅をしてたどりついたのは、エチオピア。医療施設で手伝いをし、その後協会を立ち上げ本格的にボランティア活動を始めます。日本の生活とはかけ離た環境で奮闘する様子が綴られています。