平成29年10月号



田中芳樹/著 東京創元社

 主人公のニーダムはミューザー良書倶楽部で働く元兵士。ある日、彼は姪であるメープルとともに世界中の美術品などが集まる「水晶宮(クリスタル・パレス)」へでかけます。楽しい1日となるはずでしたが、そこで2人が出会ったのは首の無い死体でした。そこに突然現れた、カラスの仮面を被った怪しい男。混乱する人々をよそに、その男は静かに口を開きます…。
 実在した作家も登場する、ホラー・アドベンチャー小説です。



ワット・キー/著 橋本恵/訳 あすなろ書房

 13歳の少年コートは川のほとりにあるハウスボートで父と一緒に暮らしていました。ある時、彼らが住むアラバマ州に超巨大ハリケーンが接近し、川は大荒れ。さらに頼りとなるリバーガイドの父もハリケーンのせいで出先から帰ってくることができないといいます。
 はたしてコートは無事にハリケーンを乗り越えることができるのでしょうか。



市川拓司/著 小学館

 ジロの将来の夢は映画の脚本家。駅前の本屋にどうしても気になる本がありますが、値段が高くて買えないため、その本を立ち読みすることが日課となっていました。そんな時、同じクラスだけど一度も話したことがない女の子・モモから声をかけられます。不思議に思うジロに彼女が頼んだのは、彼女の伝記を書くことでした。2人はこの日を機に距離を縮めていきます。



竹信三恵子/著 筑摩書房

 多くの社会人が悩まされている残業や休暇の問題に学生の目線から鋭く疑問を投げかけ、働くことについて考えることができる本です。「どこまで働くと過労死する?」という、現代社会が抱える大きな問題にも切り込んでいきます。
 あなたにとっての職業を決定するポイントがこの本に記されているかもしれません。自分が思い描いている将来の「理想」と「現実」のギャップに戸惑わないように、この本を読んで社会人への準備をしましょう。



アンネ・フランク/著 深町真理子/訳 文藝春秋

 第二次世界大戦当時、ヒトラー率いるナチス党によるユダヤ人迫害が行われていました。迫害は世界各地に広がり、オランダに住むアンネも迫害から逃れるために屋根裏部屋で生活をしていました。しかし、密告によりアウシュヴィッツ強制収容所に送られ、過酷な生活を強いられることになります。なぜ民族の違いによって差別を受け、苦しめられなければならなかったのでしょうか。
 戦争を背景とする激動の時代に翻弄されながらも、強く生きた少女の思いがつまった作品です。