平成30年1月号



佐藤まどか/著 あすなろ書房

 中学3年生の真は椅子オタク。見る椅子、座る椅子すべての分析をするほどの椅子マニアです。都内の中高一貫校へ編入した真は、図書室でマニアックな椅子の本を見つけますが、一足先に梨々という女子生徒に借りられていました。他の女子とは何か違う梨々に真は興味を持ち、椅子を共通点として2人は仲良くなっていきます。そして2人はタッグを組み、「全国学生チェアデザインコンペ」に挑戦することになるのですが…。



キム・スレイター/作 武富博子/訳 評論社

 みなさんは文字のタイルを並べて単語を作る「スクラブル」というゲームをご存知ですか?上手く話すことができないフィンレイはこの「スクラブル」で言葉の練習をしていました。大会にむけて練習を重ねる彼が優勝したい一番の理由は「出て行ったお母さんに自分を誇りに思ってほしいから」というもの。とうとう迎えた大会決勝戦、彼は優勝し、母親に会うことができるのでしょうか。



スベンドリニ・カクチ/著 岩波書店

 長年、日本で取材活動を行っているスリランカ出身の著者だからこそ見えてくる、外国人から見た日本の姿が紹介されています。歴史上、日本は閉鎖的な部分が多く多文化共生はここ数十年で大幅に浸透しました。外国人と日本人から見た「日本人らしさ」の違いや、互いの文化を理解することでそれぞれの文化に与えている影響など、この本では様々な視点から日本の現状を見ることができます。多様性の中で暮らしていくためにはどうすれば良いのか、日本で暮らす外国人の声をもとに考えていきます。



吉田 夏彦/著 筑摩書房

 わたしたちは常に様々な疑問の中で生活しており、その好奇心こそが学問の始まりとされています。「なぜ」という言葉には科学的なものと哲学的なものがあり、「空はなぜ青いの?」という疑問にも両方の面から説明をすることができます。しかし、その答えに縛られる必要はないのです。「なぜ」がもたらしてくれる自分なりの答えを見つけてみてください。



ウェスリー・キング/作 大西昧/訳 鈴木出版

 「自分は変だ。自分でもわかっている。みんなとは違うから…。でも誰にも言えない。」
主人公ダニエルは13歳の中学生。彼には誰にも言えない秘密がありました。ふとした時に脳内に語りかけてくる何か。彼はその恐怖を「ザップ」と呼んでいました。恐怖を抑えるために行う、寝る前の「儀式」。これを必ず順序通りに行わないと不安で押しつぶされそうになるのです。ザップは脳内で「お前はダメ人間だ」と語りかけてきます。毎日その恐怖と闘うダニエルに手を差し伸べたのは同じ中学に通うサラという少女。互いを支え合いながら強くなっていく少年と少女の物語です。
 過去にOCDという強迫性障害と闘っていた著者の経験をもとにした作品です。一人で抱え込まずに周囲に頼ってほしい、という思いが込められています。