平成28年6月号



キャロル・ガイトナー/著 早川書房

「じゃあね、いってらっしゃい」誰かのママがそう言って娘をハグする。中学校の駐車場での朝の普通の風景。でも、わたしはナイフで刺されたみたいな気持ちになる。
13歳の夏休み、わたしのママはガンで亡くなった。休み明けの学校は、生徒たちであふれかえっているのに、わたしはひとりぼっち。ときどきさびしくてたまらなくなる。もう二度とふつうの暮らしができないんじゃないかって怖い。こんな気持ち、親友にだってわかってもらえない。もう親友じゃないのかな…。



三日月 ゆり子/著 大日本図書

全盲の服部さんの趣味は旅行です。一人で海外へも行きます。「目が見えないのに旅行をして楽しいんですか?」そういう質問に服部さんは、「片言の英語で会話したり、嗅覚・聴覚・味覚・触覚で旅を満喫できる」と言います。
この本では、障害によってあきらめることなく旅を楽しむ人とそれをサポートする人の奮闘ぶりを紹介しています。



稲垣 栄洋/著 筑摩書房

 植物には口も手足もなく、動くことすらできないから、劣った生き物なのでしょうか?そんなことはありません。植物は、自分で栄養を作ることができるので、動物のようにエサを求めて動き回る必要がないのです。だから、動かないのです。一見弱いように見える植物の、強さを教えてくれる本です。



ジュール・ヴェルヌ/著 新潮社

 1866年、海を走行中の船が「巨大なもの」に遭遇するという事件が発生しました。太平洋でも大西洋でも次々と目撃情報があり、衝突事件も起こり、世界中が大騒ぎとなりました。未知の巨大な動物か?それともどこかの国が極秘に開発した兵器か?真相究明のためアメリカの調査艦が出動しました。その調査に参加したアロナクス教授が、自らの体験を語る形で描かれた小説です。
謎の物体の正体がノーチラス号という潜水艇であると分かった時、教授たちはそこに捕らわれの身となり、海底での冒険を強いられることになります。



ライマン・フランク・ボウム/著 小学館

 竜巻で家ごと吹き飛ばされたドロシーは子犬のトトとともに、魔法使いの住むオズの国にたどり着きます。故郷に帰るためにはオズの魔法使いに会って、願いをかなえてもらわなければなりません。道中、知恵がほしいカカシと、心がほしいブリキのきこりと、勇気がほしいライオンに出会い、それぞれの願いをかなえるために一緒に旅をします。
「今の子どもたちに、ただ楽しむためだけに読んでもらいたい」著者がそうした思いで、今から100年以上も前に書いた物語です。小さい頃にダイジェスト版を読んでいる人も多いと思いますが、改めて読むと、気づくことがきっとありますよ。