平成28年7月号



市川 朔久子/著 講談社

中高一貫校に通う私は、中三だからといって受験勉強する必要はない。夏休みを前に、学校の廊下にはさまざまなプログラムのパンフレットが並んでいる。私は料金が安くて、家から遠くて、長くいられるところを探した。そして「お寺でサマーステイ☆由緒ある静かな山寺でシンプルライフを体験してみませんか。」というのに決めた。
お寺は本当に静かなところだった。それもそのはず、サマーステイの申込みは私だけ、つまり参加者は私一人。不安を抱えながら始まった生活が、私の人生の中で最高の宝物になった。



山口 真美/著 岩波書店

顔はその人が誰かを知るものであり、表情によって今の状態を伝えるものです。大切なものであるにもかかわらず、自分の顔は自分で見ることができません。鏡の顔はみんなに見られている顔とは違います。それではどうやって、自分の顔を知ってうまく使っていけるのか、この本で学んでください。



ロブ・ブイエー/作 静山社

「新米教師でラッキー、ふりまわしてやれ」というピーター。「学校なんかなくなっちゃえばいい」とうジェフリー。「友だちなんかいらない」とうアンナ。そんなクラスに新しく来たテラプト先生はみんなの心を少しずつ変えていった。そんな矢先、大変な事件が起きてしまった。



湯本 香樹実/著 新潮社

近所に一人で暮らすおじいさんが、もうじき死ぬんじゃないかという話を聞いたぼくたちは、死ぬ時をこの目で見ようと見張りをはじめた。おじいさんはごみだらけの家で一日中こたつに入ってテレビを見てばかりという生活だった。
ところが、ぼくたちの行動に気づくと、だんだん元気になってきて外に出てくるようになり、ぼくたちにごみ出しや草むしりの手伝いをさせるようになった。少しずつおじいさんと話をするようになったある日、戦争で人を射殺したこと、戦争が終わって家族の元に帰らなかったことを聞いた。そこで、ぼくたちは…。



シヴォーン・ダウド/作 小学館

村に古くから伝わる掟によれば、母親が生んだ十三番目の子は、十三回目の誕生日に、暗黒の神ドンドに生け贄として捧げられる。その子の命と引き替えに、村は十三年にわたって繁栄するという。ダーラは十三番目の子だった。母親にはすでに十一人の子がいた。十二番目に念願の男の子が生まれ喜んだのもつかの間、想定外にもう一人生まれてきた。それがダーラ。ダーラは村の長老に引き取られ、物心つくころから自分の運命を教えられた。そして明日、ダーラは十三歳の誕生日をむかえる。