平成28年2月号



いとう みく/著 小峰書店

 「車夫」とは人力車のひき手のことです。でも昔の話ではありません。今の時代にある、りっぱな職業です。観光客を乗せた人力車を引いて走り、その土地の歴史や観光ポイントについて説明するのが、今様の車夫の仕事です。
主人公の走は複雑な家庭の事情から、一人ぼっちになり、高校を中退し働かなければならなくなりました。そんな時に、「車夫」の仕事と出会い、ひたすら走り続ける体力と、イケメン顔という二つの条件をクリアし就職します。新たな世界で、自分の生き方を見つけていく少年の物語です。



旺季 志ずか/著 サンマーク出版

 主人公のキラは、特異体質で真っ青な髪と目を持って生まれました。髪を黒く染め、黒いコンタクトレンズをして、コンプレックスを隠しながらも、自分に自信を持てない日々を過ごしていました。
ある日、賢者を名乗る老人に出会い、どんな願いもかなうという「七つの石」を探す冒険に出ます。



誉田 哲也/著 光文社

宏伸はリサイクルショップで、変ったカメラに出会います。カメラ本体に、立方体の箱が連結し、その下に回転台がついています。それは、世界一長い写真のギネズ記録保持者の所持品で、360度のパノラマ写真を撮影するために、作ったものでした。
そのカメラで、卒業記念イベントとして全校生徒の集合写真を撮ることになりました。13回転してギネス記録を更新する長い写真への挑戦に挑みます。



アレックス・シアラー/作 竹書房文庫

 そう遠くない未来が舞台の小説です。老化防止の薬が発明され、誰もが40歳前後で薬を飲み、その外見のまま150歳くらいまで生きるようになりました。しかしその代償として、子どもがほとんど生まれなくなってしまったのです。
主人公はタリンという少年です。養い親は、子どものいない家庭にタリンを貸し出して、商売をしています。養い親はタリンが子どものうちに、死ぬまで子どもの外見のままでいられる手術を受けさせようと考えています。貴重な子どもタリンの運命は…。



ジャン・ジオノ/作 あすなろ書房

 男は一人息子と妻を亡くし、世間から離れ一人、羊飼いをして暮らしていた。ゆっくり静かな生活を楽しんでいたが、なにかためになる仕事をしたいと考えた。そこで、荒れ果てた土地をよみがえらせようと、どんぐりを植え始めた。誰にも知られることなく、作業は何年も何年も続けられた。
そして、失敗を繰り返しながらも、いつしか荒地には木々が育ち、森になり、森は面積を広げ、人びとが住むようになっていった。