平成28年3月号



シャロン・M・ドレーバー/著 鈴木出版

 わたしは話すことができない。歩くことができない。自分で食べることができないし、自分でお風呂にはいることもできない。もうすぐ11歳のわりに、小さい。それが、すごくいや。
 最近、自分の思っていることを言葉にできる機器と出会って、わたしの生活は大きく変わった。
だれもが、「どこが悪いの?」と知りたがる。だから、すぐ答えられるように機器にこう登録した。「わたしには脳性まひがあります。そのせいで体に不自由さはありかすが、心は自由です。」
 えくぼがかわいい女の子の物語です。



『ビッグイシュー日本版』編集部/編 大和書房

 精神科医の香山リカさんからスタートし、次の人を紹介するというリレーインタビューの内容を綴った本です。各分野で活躍している方々が、自分自身の人生のターニングポイントを教えてくれています。
 香山さんは、志望していた大学に不合格になって夢が消えてしまったことが、自分を変えたと語っています。



梨木 香歩/著 岩波書店

 かつて親友だったユージンは、六年生の春ごろから学校に来なくなった。はじめのころは届け物に行ったりしていたが、迷惑がられているようで、足が遠のき、全く会わなくなって二年になる。
 ある日、ちょっとした用事で、広い敷地の農家に、一人こもって暮らしているユージンのところへ行くことになった。そこで、意外な人たちに出会い、生涯忘れられない一日を過ごすことになった。



のぐち やすお/著 ラピュータ

 19歳の時、ただ漠然と遠くへ行きたかった。遠ければどこでもよかった。しかし、学生の身分では、ヒマはあっても金がない。そこで、サイクリングで、東京から北海道の宗谷岬に向かった。途中でやめてもいいという軽い気持ちだったが、国道4号線をひたすら北上したら、あれよあれよという間に着いてしまった。もっと広い世界へ行きたいと、次にカナダ横断に挑戦すると、意外と簡単だった。地道に走り続ければどんなに遠いところでも、いつかは終点にたどりつくことがわかった。
 それから、自転車に乗り続けて30年、世界一周も達成し、今でも走り続ける著者の放浪の軌跡をたどって下さい。



石野 径一郎/作 講談社

 太平洋戦争末期の沖縄戦。16歳から20歳までの女生徒で編成されたひめゆり部隊は、特志看護婦として、野戦病院で奉仕していました。米軍が迫り、過酷な状況での移動が始まりました。
 主人公のカナは移動中、親しい人の死や別れを体験し、「生きたい、生きねば」と強く思います。ところが、追い詰められた洞窟の中で集団自決が決定されます。