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おすすめの本
 

No.631 平成30年6月

『白墨人形』『わたし、恋人が2人います。複数愛という生き方』
C.J.チューダー/著 中谷 友紀子/訳文藝春秋

 12歳のエディとその仲間たちは常に一緒。その日もいつものメンバーで森へ遊びに行く約束をしていました。しかし、その途中で白いチョークによって描かれた不気味な「棒人間」を見つけます。その絵が指す方へ歩いていくと人の身体の一部のようなものが。好奇心に煽られた彼らが見つけたのは、何者かによって頭部を持ち去られた少女の遺体でした。さらに、エディと発見された少女は以前に会ったことがあり…。
 そして現在、大人になった彼らのもとにあの「棒人間」がやってきます。たくさんの事件と彼らの人生が交錯する長編サスペンスです。
(A.K)


きのコ/著  WAVE出版

 ポリアモリー(複数愛)と聞くと、それは不倫や浮気ではないの?と考えてしまうのではないでしょうか。著者は同時に複数の人を愛してしまう自分に悩み、また、誰かひとりを一途に愛することが当たり前であり、そうあるべきと言う社会的な規範の中で生きる事に苦しんでいました。
 そんな著者がいかにして恋人間の信頼関係を大切に、ポリアモリーというライフスタイルを実践してきたのか。LGBTなどが注目されるようになり、人と人との関係性も変わりつつある今、新しい生き方が選択できるということを学べる一冊です。
(M.T)


『エンディングドレス』
『先生、オサムシが研究室を掃除しています!』
蛭田 亜紗子/著 ポプラ社

 麻緒は愛する人を亡くし、自らも命を絶つことをひそかに考えています。そんな時、「あなただけの死に装束を手作りで」と書かれたポスターをきっかけに終末の洋裁教室に通い始めます。
 麻緒とは年の離れた人生の先輩たちも通う教室では、エンディングドレス作製の前に「はたちのときにいちばん気に入っていた服」や「思い出の服をリメイク」など、毎月課題が出されます。そして、それらを製作していくうちに彼女の気持ちに少しずつ変化が…。
 さて、あなただったら人生の最期にどんな服をえらびますか?
(R.K)


小林 朋道/著 築地書館

 鳥取環境大学の小林教授は研究室で新たな発見をします。名付けて「昆虫お掃除ロボット」。障害物が多いと使えないお掃除ロボットとは違い、障害物をものともせずゴミを集める「オサムシ」を見つけたのです。しかしこの後大きな欠点も発覚してしまいます。他にも「ヒューマンクラウド」なるものを使っていましたが、これにも欠陥が見つかります。
 こんな教授が主催する「森の人間動物行動学」では人や動物、そして昆虫等様々な生き物を使った実験や研究が日々行われています。生き物の行動について知的好奇心をくすぐられる話題がつまっています。
(Y.E)


『看護師も涙した老人ホームの素敵な話』『軍艦探偵』
小島 すがも/著 東邦出版

 老いは誰にでも平等にやってきます。しかし、健康で趣味や生きがいを見つけ毎日を謳歌している人もいれば、病気などでベッドの上での生活を余儀なくされている人などその環境は様ざま。
 本書に登場するご老人たちも老人ホームという場所で、泣いたり笑ったり、時には怒ったりしながら日々を送っています。そんなおじいちゃん、おばあちゃんと向き合っている看護師さんが目にした19の実話が綴られています。
 夫婦や親子の絆、家族の愛情の深さに心打たれる場面もあれば、家族の拒絶や入所者との永遠の別れといった悲しい現実もあります。「老い」を通して「生きる」ことを見つめなおすきっかけをくれる一冊です。
(Y.O)

山本 巧次/著 角川春樹事務所

 短期現役士官制度に応募して、海軍主計士官となった池崎。はじめて配属された戦艦榛名に乗り込んだ彼は、入港中におこなわれる食糧搭載を見て、その様子にかすかな違和感を覚えます。不安をよそに何事もなく搭載を終えたと思っていたら、その後運びこまれた野菜の箱が一つ紛失したと報告が。
 ただの食糧盗難かと思われましたが、池崎は運び込みの時に感じた違和感から、箱の紛失に隠された意外な事実をあきらかにするのでした。
 その観察眼とするどい推理力で赴任した数々の軍艦内でおこる事件を解決していく池崎。「軍艦探偵」とよばれた海軍士官が活躍する軍艦ミステリーです。
(A.U)