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おすすめの本
 

No.738  令和5年2月

『自己正当化という病』『美しきタロットの世界』
 片田 珠美/著  祥伝社

 あなたの身の回りには「自分が悪いと思わない人」がいませんか?うまくいかないことがあるたびに「私は悪くない」と主張し、他人や環境のせいにしている人のことです。その人たちは自己正当化していることが多いようです。著者は多くの患者と向き合い、根底に潜む心理や思考回路を読み取って、この自己正当化には3つの動機と4つの要因があると考えています。解説を読めば、きっと思い当たることが出てくることでしょう。
 残念ながら、外側からこの人たちを変えていくことは困難のようですが、巻末に対処法が示されています。この本を読んで、自分に合ったやり方で向き合っていきましょう。
 (k.S)
 読売新聞社「美術展ナビ」取材班
 東京タロット美術館/監修  祥伝社

 神秘的なイメージのタロット。カードの絵柄に意味があり、様々な解釈をつけ占います。でも本当は、占い以外の愉しみ方があったことをご存知ですか?
 イタリアの貴族社会で誕生した当時は、絵柄に隠された神話や箴言などの「寓意」を読み解く、教養と創造力の「試金石」として使われていたそう…。
 時代を経て、世界中で使われるカードに進化し、今なお多くの人々を魅了し続けています。あなたは、タロットの秘められた謎を、どう読み解きますか?
(Y.N)

『102歳、一人暮らし。』『災厄の絵画史』
  石井 哲代、中国新聞社/著  文芸春秋社

 石井哲代さんは広島県に住む、現在102歳のおばあちゃんです。20歳で小学校教員になり、退職後は畑仕事に精を出す日々。長年連れ添った旦那さんを見送った後は一人で暮らしていますが、姪やご近所さん、教え子たち、そして中国新聞社の記者が訪ねてきます。100歳を超えても元気な姿が「中国新聞」やテレビなどで紹介され、地元でも愛されているおばあちゃんです。
 人生100年時代と言われている今、心も体も健康で長生きするためには何が大切なのか。明るくチャーミングな哲代さんから自分らしく生きるヒントを見つけましょう。
(S.M)

 中野 京子/著  日経BP日本経済新聞出版

 古来人類は、様々なパンデミックや自然災害、戦争などと向き合ってきました。その災厄の歴史を、当時の画家たちは一枚の絵の中に表現しています。
 本書では、当時の歴史背景を解説しながら、画家たちが描いた過酷な運命に翻弄されて抵抗する人々の姿や、人間の本質の深さを知ることができます。また、現在の画家たちには、コロナパンデミックをどのように描くかとの問いかけも行っています。カラー写真で名画の数々が紹介され、『怖い絵』シリーズで話題を呼んだ著者が、絵を感じるだけでなく、知ることで絵をよむ面白さ・楽しみ方を教えてくれています。
(Y.K)

『サイコーサウナ』『アルツハイマー病になった母が見た世界』
 五箇 公貴/著  文藝春秋
           
 「サウナのおかげで、今日も生きている。」とサウナ愛溢れる言葉で始まる本書。
 公私ともにサウナに通う日々を送る著者のサウナガイドは、どの施設もとても魅力的です。それに続く、経営者が語るサウナを作り上げるに至った『波乱万"蒸"(じょう)』な物語は、どれもバイタリティーに溢れ、サウナを通じてみんなが幸せに暮らしていけたらと願う情熱に胸が熱くなります。サウナ用語の「ととのう」とは、サウナに入る、水風呂に浸かるを繰り返して心身ともに恍惚する瞬間が訪れること。読んでいるだけで心が「ととのう」一冊です。
(A.K) 
 齋藤 正彦/著  岩波書店

 著者の母は、夫が亡くなった後、自分の青春時代を取り戻すかのようにスペイン語の勉強やピアノのレッスンを受け始めたり、留学生や女子大時代の級友との親交を深めたりと精力的に活動をしていました。しかし、病は容赦なく母に忍び寄り、次第に認知機能に影を落とします。アルツハイマー病になった母が、67歳から亡くなるまで20年ほど書き続けた日記をもとに、息子であり認知症専門医の著者が、認知症の始まりを母がどう受け止め向き合ったのかを探っています。
 日増しに自律を失っていく母親とその家族の葛藤や憂いが痛いほど伝わってきます。
     
(Y.N)