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おすすめの本
 

No.737  令和5年1月

『家康の本棚』『地図でスッと頭に入る世界の三大穀物』
大中 尚一/著 日本能率協会マネジメントセンター

 室町時代後期から江戸時代を舞台に、徳川家康の生涯を描いたNHKの大河ドラマが注目されています。本書では、波乱万丈な家康の生涯を振り返りながら、その人生を支えた書物に光を当て、それらが家康にどんな影響を与えたか紐解いています。
 『史記』や『漢書』といった中国の歴史書をはじめ、中国の政治指南書である『貞観政要』、武士らしく軍紀物や『孫子』などの兵法書を好み、儒教に関するものなど、多彩な書物に触れた家康は政治や軍事に活かしました。様々な書物を読み、先人からの学びによって天下人となった家康の本棚をのぞくことで、彼の書物に対する情熱を垣間見ることができます。
 (Y.O)
宮地 秀作/監修 昭文社

 世界最大の農作物輸入国、日本。日本の2021年度の食料自給率は38%と先進国中、最低水準となっており、海外からの輸入に頼っているのが現状です。つまり、干ばつや異常気象で輸出国の穀物生産量が減少したり、輸出国の政情不安などで輸入が難しくなったりした場合、食糧が確保できなくなる可能性があります。ウクライナ危機や世界各国で頻発する自然災害は日本の食卓につながっているのです。
 本書は世界三大穀物の小麦・コメ・トウモロコシと、大豆、ジャガイモの産地と流通経路を地図やグラフでわかりやすく解説しています。人が食べるほかに、牛・豚・鶏などの飼料や、バイオエタノールの原料としての需要もある穀物の現状を知ることができる一冊です。
(S.M)

『水』『外国語をつかって働きたい』
 北村 薫/著 新潮社

 「手」、「〇」、「糸」などと題した、本にまつわる7篇の小説集です。
 その中の「手」という一篇。向田邦子のエッセイを読んだエピソードから、筆者自身の飼っている猫の話になります。そこから何故か落語、そして歌舞伎…からの隆慶一郎の話、と話題は転がり続け、読み手の好奇心を散々引っ張りまわした挙句に、題名の「手」に話の落ちがつきます。
 一篇を読み終わるたびに、「なるほどこの題名がぴったりだ」としみじみ感じ入ること請け合いです。どこから読んでも、著者の言葉の力に絡めとられて読み進めてしまいます。お試しください。
(A.K)

小島 さなえ/著 左右社

 大学で中国語を専攻し、翻訳・校正の仕事や大学職員をしてきた著者。そんな著者の就職期間や10年間の実務経験での話を描いた、エッセイ漫画です。加えて、商社の海外駐在員や通訳ガイドなど、語学力を生かして仕事をしている方への取材も紹介しています。
 外国語専攻の一部の生徒や著者も直面した「言語はツール」問題。そんな問題に直面している学生には、就活の参考にしてほしいという想いや、紹介した仕事について興味をもってほしいという、著者の考えが本書に込められています。
(M.O)

『北欧でみつけたサスティナブルな暮らし方』『世界のヘンな研究 世界のトンデモ学問19選』
井出 留美/著 青土社
           
 近頃よく耳にする「サステイナブル」。皆さんは意味がわかりますか?日本語では「持続可能な」と訳します。世界的に見ると、この「サステイナブルな社会」において日本は大きく後れをとっているのが現状です。反対に、北欧はサステイナブル最先端。売れ残ったパンからアイスクリームやビールを作ったり、食品廃棄物を燃料とした市営バスが走っていたり、食品ロスを減らすための面白い取り組みがいくつもなされています。
 これから、環境問題はより一層身近なものになるでしょう。まずは自分にできることを、環境にやさしい未来を目指して知ることから始めてみませんか。
(A.K) 
五十嵐 杏南/著 中央公論新社

 世界には、ありとあらゆる“おもしろ研究”であふれています。
波乗りサーフィンには、運動生理学や気候変動のデータが研究されているし、カジノには、ギャンブル研究とエンターテインメント工学が最先端のテーマだとか?
 他にも、忍者や日本のアニメ研究がクールだったり、地域の特産物を活かした、その土地ならではの研究だったり…と、環境要因や地理的な条件が生む珍しい研究なども存在しています。
 世界は狭いようで広い!ロマンあふれるヘンな研究の世界を覗いてみましょう。     
(Y.N)