土曜日(どようび)の朝(あさ)、事件(じけん)がおきた。現場(げんば)は、ぼく、服部至(はっとりいたる)の家(いえ)だ。飼(か)っている小鳥(ことり)のチーパがいなくなった。ぼくとお父(とう)さん、お母(かあ)さんは家(いえ)のなかはもちろん、マンションのまわり、商店街(しょうてんがい)までさがしたけれど、どこにも見当(みあ)たらない。しかも、チーパのことを考(かんが)えるとなぜか目(め)がチカチカする。それに、なにを見(み)てもチーパに見えた。道(みち)ころにころがっていた空き缶(あきかん)、ケーキ屋(や)さんの看板(かんばん)のマーク。「それって、非日常(ひにちじょう)の世界(せかい)じゃない?」と同(おな)じマンションに住(す)むムツくんがいった。その日(ひ)からチーパのいない非日常(ひにちじょう)がはじまった。