いとうみく/著 静山社
母親を病気で亡くした主人公、成。父親が突然行方不明になり、高校2年生の彼は家族(3人の妹たち)を支えることに。ある日、近所のスーパーから「妹さんが万引きをしまして…」と電話があり、あわてて妹のもとへ駆けつけたのですが、「……。ん?だれ?」顔も知らない女子高生が座っています。彼女は失踪した父親と一緒に写っているスマホ画面を見せ、妹だと言い張りますが…。「親ガチャ」に翻弄された彼女と父親との関係が明らかになり、改めて父親について考える成。バンピー(でこぼこ)な人生を歩む若者たちのお話です。
『チャンス はてしない戦争をのがれて』
ユリ・シュルヴィッツ/作 原田勝/訳 小学館
「ぼくと家族が生きのびたのはまったくのチャンスだった」
チャンスという言葉は「好機」というイメージに思いがちです。しかしこの本では「偶然」という意味で使われています。作者は絵本作家ユリ・シュルヴィッツさん。作品に「おとうさんの地図」などがあります。ポーランド生まれのユダヤ人です。戦火を逃れ、戦争中はもちろん、終戦後にも迫害を受け、飢えや病気に耐える日々を送りますが、度重なるチャンスによって彼は生かされます。
『お金に頼らず生きたい君へ』
服部文祥/著 河出書房新社
今の世の中、衣食住はお金を払えば人や機械がやってくれます。ただし、働かなければお金は稼げません。この本では、働いてお金をもらう賃金労働ではなく、自給自足するために働く生活労働で生きていく、著者の「自力」生活が語られています。畑を作ったり、シカを撃ってさばいたり、沢の水をひいたり、衣食住を自分でまかなう生活。興味のある人、「一人で生きてやる!」と思っている人はぜひ読んでみてください。
『食べるスポーツ フードファイターの挑戦』
小林尊/著 偕成社
アメリカ、ニューヨークで行われる、ホットドックの早食い選手権に6年連続で優勝した小林尊さん。彼は10分間でホットドックを69本、8分間でハンバーガーを93個食べるという、すごい記録を持っています。胃袋の格闘技といわれるフードファイト。食べることをストイックに研究し、それを職業とする彼のファイターとしてのプライドや信念を知れば、普通に「大食い」という言葉は使えないでしょう。ただ、彼の考案した勝てる食べ方は、あまりおいしそうには見えないかもしれません。笑
『まるがいいっ』
林木林/作 庄野ナホコ/絵 小さい書房
―だれが言いだしたのか わからないけど
とにかく みんな まるが すき―
まるの人気が急上昇!まるいものであればなんでも売れる。どんなものでもまるくすれば買ってくれる。まるの時代が到来します。ところが、あっというまにその人気は落ちて…果たして次はどんな形が流行するのか?
『二番目の悪者』でおなじみの二人が描く、ちょっと身の回りで「ありそう」なお話です。絵本なので本が苦手な人でも読めます。