周東 美材/著 新潮社
1920年代、童謡を「あどけなく」歌う子ども歌手が人々の心をとらえます。初期の宝塚歌劇は「少女歌劇」と呼ばれ、オペラという外来音楽を「子どものパフォーマンス」として昇華したものでした。1971年に始まった「スター誕生!」では、TVに出演することがデビューよりも先行し、スポットライトを浴びたのは学校に通う「一般」の少年少女たち。その他ジュニア時代から着目される「ジャニーズ」や制服を着る「アイドル」。いずれもその「未熟さ」にどこか魅力を感じます。本書では「未熟さ」を基調とし、独自の文化を生み出す日本型ポピュラー音楽の歴史を読み解きます。 (M.N)
| 半藤 一利/著 SBクリエイティブ
自称「歴史探偵」の作家半藤一利は、幕末・明治期の「近代日本史」や、自分が生きた「昭和史」と向き合い続けました。歴史の生き証人たちへの徹底した取材、細部にわたる史料の検証を重ね、「昭和」とは、「あの戦争」とは何だったのか、という本質的な問いに取り組み続けた生涯でした。本書は膨大な著作のエッセンスを抜き出し再編集したものです。全5章の内容は、歴史から何を学ぶべきか、歴史とともにいかに生きたか、過ちを二度と繰り返さないために等、各文章からは著者の思いがあふれてきます。終戦から77年、今の世界の現実に、著者が生きていたら何を思うのでしょうか。 (T.M)
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