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おすすめの本
 

No.726  令和4年7月

『仰天・俳句噺』『生きもの毛事典』
夢枕 獏/著  文藝春秋

 70歳になった、ガンになった。そして、俳句にとことん、のめりこんでしまった。
 季語が邪魔だと言っていたら、今や俳句は季語がすべてだと思えるし、むしろ俳句は新たな定型小説なんじゃないかとさえ思っている著者。縦横無尽、自由奔放に、俳句について思いのたけを語り尽くします。著者の闘病生活を支えていたのは、俳句の持つ「言葉の力」だったのです。
 俳句はSF?それともファンタジー?歴史を超えて時空を超えて、俳句の世界がひろがるエッセイです。 
(Y.N)
保谷 彰彦/著  文一総合出版

 さまざまな生きものには毛が生えています。生きものたちは、毛で移動したり、身を守ったり、断熱することもできます。本書では、生きものたちの毛のつくり、大きさ、成分など大切な秘密を教えてくれます。毛の役割を知れば知るほど、生きるために欠かせない存在である事を知ることができます。また、ヒトの毛についても詳しく知ることもでき「なぜ?」を知り、自分の体を守ってくれていることに気づかされます。イラストつきで読みやすくページ毎に、【おま「毛」】付きの情報も楽しめます。
(Y.K)
『日本ご当地パン大全』『BODY SHARING 身体の制約なき未来』
        辰巳出版

 本書では日本全国のご当地パンがたくさん紹介されています。中でもその多くが全国区で販売されていない、地元のパンメーカーが作った個性的な味や形の「菓子パン」はレトロで可愛いパッケージやネーミングセンスも相まってひときわ目を引きます。そして地元の人たちに長年愛され続ける町のパン屋さんが作った、その土地らしいアイデアをいっぱい詰め込んだ「調理パン」もご当地愛に溢れています。
 「自販機のパン」や「給食のパン」などパン文化にまつわるミニ特集も満載。見たこと聞いたことのないご当地パンの楽しい魅力がいっぱい詰まった一冊です。
(K.A)
玉城 絵美/著  大和書房
 

 身体に付随する感覚の情報を相互共有することによって、自らの身体を、他者、ロボット、アバター、さらには複数人数と共有すること、そしてそのことによって得られる「体験」をデータで共有する技術を「BodySharing(ボディシェアリング)」といいます。類似技術として、テレプレゼンツ、テレイグジスタンス、アバター、XR、人間拡張などが挙げられます。
 本書は、BodySharingやその類似技術の解説や比較、著者の研究内容などが紹介されています。誰かの体験をデヴァイスを用いて自分が体験したり、人間以外の動物の疑似体験ができたりする未来も近いのかもしれません。
 (S.M)
『村雨辰剛と申します。』『緯度を測った男たち』
村雨 辰剛/著  新潮社

 NHK朝の連続テレビ小説「カムカムエブリバディ」に主人公の恋人役で出演した村雨辰剛(むらさめ たつまさ)さん。26歳の時に日本に帰化していますが、元々は北欧のスウェーデン出身です。幼い頃から日本が大好きで、独学で日本語を学び、高校生の時に初めて日本でホームステイして、さらに日本の魅力に引き込まれました。高校を卒業して19歳の時に再来日し、選んだ仕事は造園業の庭師でした。職人の世界に入って師弟関係で仕事を学び、帰化した後もテレビの出演など多方面で活躍されています。日本が好きという純粋な思いが込められた半生を振り返ります。
(K.S)
ニコラス・クレーン/著 上京 恵/訳
            原書房

 17世紀末に地球の形をめぐる論争が繰り広げられました。地球の正確な形が分からない限り精密な地図や海図は作れない。本当のところ地球はどんな形をしているのか。その疑問を解明するために、フランスで学者や技師、軍人、召使いなどからなる赤道測地測量隊が結成され、赤道域の調査に乗り出します。しかし、その遠征は過酷で幾多の困難に見舞われ、9年の歳月を要しました。本書は、彼らの能力を駆使した測量の様子と波乱に満ちた命がけの日々を描いた記録です。史実でありながら、冒険小説を思わせるような文章に引き込まれます。
(Y.O)