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おすすめの本
 

No.725  令和4年6月

『一汁一菜でよいと至るまで』『あきらめません!』
土井 義晴/著 新潮社

 料理ができない。したことがなくて、どうしていいかわからない。日々の献立、何を作ろうか悩みはつきません。そこで、料理番組でもよく知られる料理研究家の著者が、家庭での食事は簡素なものを食べればよいという「一汁一菜」のスタイルを提唱し、反響を呼びました。一汁一菜とは、ご飯とおかずも兼ねる具沢山の味噌汁があれば十分というもの。 
 本書では、家庭料理研究家だった父との思い出、フランスや日本での修行時代のこと、そして父と同じ家庭料理の道を歩んできた半生を振り返り、食や料理に対する著書の思いを綴っています。メディアで耳にする関西弁の著者の声が語りかけてくるようです。
(Y.O)
谷垣 美雨/著 講談社

 主人公・霧島郁子は、定年退職したばかり。結婚以降、子育てや家事をほぼ一人で頑張ってきた郁子は、退職後の生活を楽しんでいました。
 ところがある日、夫の「お袋はもう81歳だぜ」の言葉をきっかけに、あれよあれよという間もなく、都会での生活に終止符をうち、夫の実家がある山陰地方のとある市に住むことになりました。そこでまた、ひょんなことから市議会議員に立候補することになるのです。果たして郁子は当選できるのでしょうか?
 郁子をはじめ、さまざまな年代の女性たちが自身を取り囲む問題に真っ向から立ち向かう、小気味の良い一冊です。
 (A.K)


『豊田章男の覚悟 ~自動車産業グレード・リセットの先に~』『部落の私たちがリモートで好き勝手にしゃべってみた。』
片山 修/著 朝日新聞出版

 世界を代表する大企業、トヨタ自動車。全世界的な自動車業界の大きな変革期の中にあって、トヨタ自動車社長 豊田章男氏が、どのようにして問題解決に挑み、多くの危機を乗り越えてきたのか、詳しく描かれています。
電気自動車の生産や、水素エンジンの開発の裏には、豊田社長の「もっといいクルマを作ろう!」という熱い思いが流れていました。
 その姿は、多くのリーダーたちの指針となっているばかりでなく、読者の一人ひとりにも勇気を与えてくれると、著者は語っています。
(M.O)
(一社)部落解放・/著 青土社
 

 被差別部落にルーツを持つ5人の女性の生い立ちや現在の活動、部落差別体験や部落問題への向き合い方について、第35回人権啓発研究集会の分科会「これからの部落問題解決を担う女性からの発信」で語られた内容をもとにまとめられています。
 部落問題(同和問題)とは、特定の地域に住んでいる、住んでいた等、関わりがあることで日常のさまざまな場面で差別や排除を受ける、日本固有の人権問題です。「マイクロアグレッション」「新しいレイシズム」など部落問題への不理解も多く存在します。女性たちの素直な気持ちが語られる本書には、部落問題の解消への願いが込められています。
 (S.M)
『ラブカは静かに弓を持つ』『忍者に結婚は難しい』
安壇 美緒/著 集英社

 全日本著作権連盟の職員である橘樹は、スパイとして音楽教室への潜入を命じられます。その目的は著作権法違反の証拠を掴むことでした。
 彼は少年時代、音楽教室の帰りに誘拐未遂事件の被害に遭ったことで、心にトラウマを抱えており、楽器の演奏からは長く離れていました。しかし、潜入先のチェロ講師・浅葉桜太郎に出会い、楽器や人との関わりを通して閉ざしていた心を少しずつ開いていきます。孤独から救ってくれた浅葉を庇うため、嘘を重ねてしまう橘。潜入スパイとして、彼はどのような決断を下すのでしょうか。
 (A.K)
横関 大/著 講談社

 歴史的に敵対してきた、伊賀と甲賀の忍者一族。それがいまの令和になっても、暗躍しているとしたら?
 大悟と蛍の夫婦は離婚寸前。晩ごはんにレトルトカレーが続いたり、トイレの飛沫でもめたりと、不満が積もりに積もって大爆発。しかし、大悟は手裏剣など古き伝統を守りつつ、現代日本の郵便ネットワークを牛耳る伊賀忍者。そして蛍はIT技術も駆使する実力派集団、甲賀忍者。二人はお互いの正体を知らずに結ばれていた、夫婦だったのです。
 『ルパンの娘』で人気の著者が描く、忍者ラブコメディーです。
 
(Y.N)