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おすすめの本
 

No.723  令和4年5月

『99年、ありのままに生き『この1冊でOK!一生使えるマナーと作法』
瀬戸内 寂聴/著 中央公論新社

 令和3年11月に99歳で亡くなった、尼僧で作家の著者。愛に生き、自由を謳歌したその生きざまは、今もなお多くの人の心に残っています。
 これは『婦人公論』に掲載されたものの中から厳選してまとめたもの。愛と革命の小説家として、そして、自分らしく生きる方法を説く出家者として、珠玉の言葉がちりばめられています。
なによりも、人として、女性として「ありのまま」に生きてきたからこそ書ける、大迫力の文章に勇気をもらえます。
(Y.N)
明石 伸子/監修 ナツメ社

 本書では、冠婚葬祭・贈り物・食事の席など、いざというときに必要となるマナーや作法をしきたりや慣例が生まれた背景を踏まえつつ、イラストや図解を交えて、表書きや服装など誰もが気になるポイントを細部までわかりやすく解説されています。 
 マナーと聞くとつい身構えてしまいますが、相手を思いやる気持ちは誰もが持っているものです。
 マナーや礼儀の本質を理解して、よりよい人間関係を築くためにもオススメの一冊です。
(K.A)

『氷の城』『頭のよさとは何か』
タリアイ.ヴェーソス/著 朝田 千惠/訳 
アンネ・ランデ・ペータス/訳  国書刊行会

 11歳の少女シスが通う学校に同い年のウンという少女が転入してきました。二人は、お互いの事が気になり探り合うように距離を縮めていきます。ある日、シスの机にウンからのメッセージが書かれた紙切れがありました。それをきっかけに、シスはウンの自宅へと招かれます。しかし、二人が一緒に過ごした次の日、ウンの行方がわからなくなりました。ウンはいったいどこへ。そして二人の過ごした時間に何があったのでしょうか。
 二十世紀のノルウェー文学を代表する著者が、1963年に描いた小説で、49年ぶりに邦訳されました。
(Y.K)

中野 信子、和田 秀樹/著 プレジデント社 

 脳科学者である中野信子さんと、精神科医の和田秀樹さんが「頭のよさ」について対談した内容を収録した本です。東大を卒業している高学歴の二人ですが、もう学歴だけでは頭のよさが測れないと述べています。
 また、現代は情報を得られないことが生活を苦しくしているという事例を紹介して、そのような現状を克服するために、情報を持つようにする「知ること」と、試しにやろうとする「意欲」の大切さを訴えています。
 この本を読んで改めて「頭のよさ」について考えてみてはいかがでしょうか。
(K.S)

『江戸の組織職人 現代企業も官僚機構も、すべて徳川幕府から始まった!』『花散る里の病棟』
山本 博文/著 朝日新聞出版

 江戸時代は、武士とそれ以外の百姓・町人らの大きく分けて二つの身分でした。しかし、身分内身分とでも言うべき階級差がありました。本書は、武士身分内の階級差をもとに、幕府の組織を中心として江戸時代の組織のあり方と、組織に生きる武士たちの実像について検証した本です。
 役職名や給料の単位は現代と違うものの、上下関係で気を遣ったり、経費で頭を悩ませたりと、現代人と変わらない部分も多かったこの時代。田沼意次、大岡越前、長谷川平蔵などの有名人から、御庭番や大奥の女中など様々な人々まで、組織人の生き様が感じられる一冊です。
(S.M) 
帚木 蓬生/著   新潮社 

 大正時代から現在まで百年にわたる医療現場を、九州の町医者である野北家の人々を通して描いた10篇の物語です。
 医療技術の進歩、戦争や高齢化といった社会や時代を背景に、4代続く町医者として命と向き合う野北家の人々の姿に心を打たれます。また、各篇の中で詠まれた俳句が、物語をさらに味わい深いものにしています。現役の医師でもある著者が、10年の歳月をかけて書き上げた渾身の作で、医療現場の厳しさ、医師としての姿勢や患者との向き合い方もリアルに描かれています。
(Y.O)