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おすすめの本
 

No.713  令和3年11月

『三流のすすめ』『わたしは「セロ弾きのゴーシュ」』
安田 登/著  ミシマ社
 
 この本で使われる三流とは、一般的に使われている低い等級、質が悪いという意味ではありません。中国の書物によると、一流とは「一つのことの専門家」、二流とは「二つのことの専門家」、そして三流とは「いろいろなことをする人」だそうです。さらにはその三流の人こそ国を任せる人だと書かれているというのです。三流に徹すると、目標を持たないので無理をせず、挫折することもありません。人の目を気にせず、今やりたいことを楽しむことができます。 
  『論語』『中庸』『人物誌』など中国の古典に基づき、今の時代を楽に生きる手法を教えてくれています。                              (N.K)

 

中村哲が本当に伝えたかったこと
中村 哲/著 NHK出版

 2019年12月4日、アフガニスタンのジャララバードで医師中村哲は凶弾に倒れました。1984年医師としてパキスタンに赴任後、アフガニスタンの厳しい旱魃に遭遇し、医療で多くの人の命が救えないことを痛感します。1600本の井戸を掘り、25キロ以上に及ぶ用水路を拓き、亡くなる日まで支援活動を続けていました。本書は1999年から出演したNHK「ラジオ深夜便」の6番組でのインタビューを再現したものです。今、アフガニスタンはイスラム主義組織タリバンの制圧によりテロの被害が拡大しています。現実を見つめつつ、変わらない支援を続けていくことが著者の遺志。自身について多くを語らなかった「医師・中村哲」の心の内を知る証言の記録です。 (T.M)

『怖ガラセ屋サン』『ルーティーンズ』
澤村 伊智/著  幻冬舎

 日常には様々な恐怖が潜んでいます。あなたはどんな時に恐怖を感じますか。この本には、同僚を自宅に呼んだがために恐怖の淵に追いやられた夫婦の話、人の弱みに付け込んだ男の末路、いじめを隠そうとした少年らのその代償など、7話の怖い連作短編が収録されています。その中でキーパーソンとなるのが、誰かを怖がらせてほしい、戦慄させ息の根を止めてほしい、そんな依頼者の願いを叶えてくれるという「怖がらせ屋」。その怖がらせ屋のあらゆる手法によってあなたも恐怖の渦に引き込まれていきます。(Y.O)

長嶋 有/著 講談社

 父であり、作家である「俺」。母であり、漫画家である「私」。緊急事態宣言で変化を強いられてしまった日常が、愛娘とパートナーの新たな一面を見つけるきっかけとなっていきます。流れゆく日々を切り取り「俺」と「私」の視点で交互に語られる一幕は、「ふふ」と笑えたり「あぁ」と共感できるほどありふれた日常を映したものですが、「そうそう、自分もそうだった」と思えるような親近感が魅力です。ただ歩く日常にこんなに多くの楽しいことがあったのかと気づかせてくれるシナリオは、次の日、また次の日は、とページをめくりたくなる「中毒症」があります。
                  (W.H)
『特別支援が必要な子どもの進路の話』『ボクもたまにはがんになる』
山内 康彦/著  WAVE出版

 学校心理士である著者が、特別支援が必要な子どもの保護者に対して「早期からお子さんの未来について考えるきっかけにしてほしい」と一人ひとりの進路にあった助言を記しています。特別支援学校と普通学校の特別支援学級との違いや、それぞれのメリット・デメリットについても詳しく説明していて、教師経験があるからこその情報も知ることができます。巻末付録として高等特別支援学校の入試問題が載っています。中学三年生の卒業時に、どこまでの力が必要なのかを確かめる参考としも使うことができます。
                 (M.O) 


 三谷 幸喜/著 頴川 晋/著  幻冬舎

 患者は、脚本家の三谷幸喜さん。50代の時に前立腺がんがわかり全摘出手術を受けた時は、大河ドラマの脚本を手掛けている頃、待ったなしの締め切りも控えていました。この状況を楽観的に考えることができたのは、ひとりの先生との出会いがあったから…。
 主治医の先生との会話から、前立腺がんのイメージを変えたいと考えるようになった著者が主治医の頴川晋先生と「本当の前立腺がん」について真面目に明るく語っています。          (Y.K)