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おすすめの本
 

No.700 令和3年5月

『ヤマザキマリの世界逍遥録』『兄の終い』
ヤマザキ マリ/著 KADOKAWA

 17歳で留学、今もイタリア人の家族と一年の半分をイタリアで暮らす漫画家・文筆家の著者。本『ニルスのふしぎな旅』に夢中だった子どもの頃から、世界を知りたいと思うようになり、14歳の時初めての一人旅へ。地球は人を幸せにする要素に溢れた素晴らしい惑星と語る著者。リスボンのイワシ祭り、アテネの彫像と猫、憧れの偉大なるアマゾン川など、イラストや写真とともに旅の魅力を紹介します。
 いつか自由に旅立てる日がくるまで、様々な国での素晴らしい思い出を、本の中での旅として楽しんでほしいと願います。
                  (T.M)

村井 理子/著 CCCメディアハウス

 

 兄の死の知らせを受けた著者には悲しみの気持ちはありませんでした。乱暴で人の気持ちが理解できない身勝手な兄とは、30年前に大ゲンカしてから連絡を断ち、金を無心する電話も無視していました。それでも身内として遺体を引き取り、アパートの片付けをしなければならず、何よりもひとり残された甥が心配で新幹線に乗り込みました。
 甥の話やアパートの様子から闘病しながらも必死に生きてきた兄の様子がわかり、自分が何も知らなかったことに気づきます。そして子ども時代は兄を慕っていたことも思い出します。
 エッセイストの著者が実兄の死という深刻な現実と、それに直面した自身の怒り、笑い、悲しみと気持ちの変化を記した一冊です。
                (N.K)
『花の子ども』 『エクセル方眼紙で文書を作るのはやめなさい』
オイズル・アーヴァ・オウラヴスドッティル/著   神崎 朗子/訳    早川書房

 一年半程前に事故で母を亡くした青年が母の残した「八弁のバラ」をもって旅に出ます。青年は世界で最も名高い庭園のある修道院にたどり着きますが、そこはかつての面影がないほど荒れ果てていました。そんな修道院の庭師として働くことになります。ある日、青年は以前に関係を持った女性から赤ん坊を預けられ、育てることになりました。
 旅をする中で様々な出来事が起こりますが、その中での経験や色々な出会いがあることで、青年の感情に少しずつ変化が表れ、成長していく姿が描かれています。青年と家族や人々との温かい関係が描かれている物語です。
                  (M. О)
四禮 静子/著 技術評論社 

 これまで手書きだった申請書は、インターネットでダウンロードして、パソコンで修正するだけで仕上げることができるようになっています。ところが、様式によっては、入力が難しかったり、体裁が整わなかったりすることがよくあります。特に表題の「エクセル方眼紙」と呼ばれるデータの作り方では、後で作業をする際に手間取ってしまうのです。
 そこで、この本では広く普及している表計算ソフトで、様式や申請書を作成する際のポイントや便利なツールなどを詳しく紹介しています。作成したデータを共有することに意識を傾けると、見た目だけを良くしようとしていたことが、後々大変な作業をもたらすことに気付くことでしょう。
                 (K.S)
『ウンチ化石学入門』『アント・ワールド』
 泉 賢太郎/著 集英社インターナショナル

 ウンチの化石?実はこれは「生痕化石」とよばれるもの。恐竜の足跡や巣穴の化石と同じで古生物の行動の痕跡を示し、過去の生態系を読み解く情報が秘められている化石です。
 そんなウンチの化石の研究に魅せられた著者が語る、生命の歴史と地球の歴史。気が遠くなるような時を経て、現代の私たちが地球のためにできることはあるのでしょうか?
 地球環境や生命進化の歴史を紐解きながら、「ウンチ」クを深める一冊です。
                    (Y.N)
エドワード-O-ウィルソン/著 大河原 恭祐/監訳 川岸 史/訳   ニュートンプレス 

 著者は幼いころから昆虫や生物が好きで、家の周辺や公園へ出かけては自然界への興味を深めていきました。13歳の時、自分の住む地域に生息していないヒアリを発見します。それは運命の出会いともいうべき発見で、いつしか彼は科学者、生物学者になることを決意します。
 そして90歳を過ぎた今、アリを研究対象として80年以上を過ごして来た日々を顧みながら、アリの生態やアリの世界での熾烈な戦いなどをわかりやすく語っています。           
                 (Y.O)