予約について

おすすめの本
 

No.699 令和3年4月

『肉とすっぽん』『2.5次元文化論』
平松 洋子/著 文藝春秋

 なぜ肉を食べるのだろうという問いが頭から離れない著者は、肉をたべる根源を探ろうと日本各地を訪れます。島根県美郷町では害獣の猪を恵みに変える挑戦があり、地震に見舞われた熊本では、馬に生かされているという人々の馬肉文化を守ろうと奮闘する姿がありました。畜産、狩猟のどちらの肉にも人間の知見が関わり、土地に根ざした肉と人間のリアルな姿に多くのことに気付かされます。
 各地の魅力的な人々に出会い、見て、聞いて、食べて、つかんだ言葉は、「肉にも旬があり、うまい肉はつくられる」ということ。食べて生きるという意味を問いかけます。           (T.M)

須川 亜紀子/著 青弓社

 

 マンガやアニメ、ゲームなどの虚構である世界を現実の俳優や声優が舞台上で再現して、二次元(虚構)と三次元(現実)の「あわい」を楽しむ文化として発展した2.5次元文化。2018年の紅白歌合戦にゲスト出演した「刀剣男子」のパフォーマンスで全国的に認知されるようになりました。本書では、その中でも特に舞台、ミュージカルに光を当て、その歴史や特徴、ファンの有り様などを紐解いて行きます。
 物語上ではありえないキャラクターの邂逅も2.5次元の舞台俳優が演じれば可能になる。虚構の世界の約束で制限されたことを現実の世界で演者によって楽しむことができる。逆転の発想に目から鱗です。                  (Y.M)


『部活はそんなに悪者なのか⁉』『世界のおやつ』
猿橋 善宏/著 インプレス

 部活動があることで、教職員の休みがほぼ無い、子供たちの学力が低下しているという意見があり、世の中では「ブラック部活」という言葉まで使われているそうです。この本では、中学校の野球部を長きに渡り指導してきた著者が、部活動の指導者として、教職員として子供たちと関わる中で得た考えを紹介しています。
 自らの経験談や指導法、さらには学校改革についても書かれており、実際に指導を行っている人だからこそ分かる提言には説得力があります。この本を読んで部活動を見直してみませんか。     (M.O)
鈴木 文/著 バイインターナショナル

 これまで50カ国以上を旅して、500種類以上の世界のお菓子を学んできた、パティシエの著者が欧米・アジア・中東・アフリカなど世界中のおやつ100品をおうちでも作れるレシピと共に紹介する本書。お馴染みのお菓子から珍しいお菓子まで、全てのおやつに添えられた、絵本を見ているような温かなイラストもとても可愛く、美味しそうで眺めているだけでも心が弾みます。コロナ禍の中「人々のおうち時間に、一から世界のおやつを作るきっかけを提案できたら…」と著者は語ります。幸せな時間を届けてくれる様々なおやつと一緒に、おうちで世界中を旅してみませんか。レシピ本でありながらも、世界のお菓子事典さながら内容ぶりは必見です。     (K.A)

『それでも僕は歩き続ける』『Dr. ヤンデルの病院選び』
 田中 陽希/著 平凡社

 「日本百名山ひと筆書き」と題し、人力のみで日本を縦断する挑戦をした、テレビでもおなじみの著者のエッセイです。
 コロナの影響で活動が中断される時期が3か月ありました。常に歩いたり登ったりの毎日から、いきなりぽかんと時間が空いたので、その機会にじっくりと考えたことを綴っています。いつも元気に頑張っている人というイメージが作られていますが、悩みや迷いも書いています。また、人と違う道を歩いてきた経験から若者に向けて、本気になれるものを見つけることが大切だと語っています。
                 (N.K)
市原 真/著 丸善出版

 レストランで客の要望に応じてワイン選びの手助けをするソムリエのごとく、病に応じてどのような対処をしたらよいか提案する「ヤムリエ」を名のる著者。SNS上でTwitter名「病理医ヤンデル」としても知られていますが、れっきとした病理診断医です。
 体調が悪くなると誰もが病院へ行くことを考えますが、病院選びとなると悩んでしまいます。そこでヤムリエの出番。医者というプロの目線で、患者になった体験をふまえつつ、病院の選び方や身体との向き合い方などわかりやすく教示しています。
                  (Y.O)