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おすすめの本
 

No.693 令和3年1月

『続けてみます』『感染症時代のマスクの教科書』
ファン・ジョンウン/著 晶文社

 ソラとナナの姉妹は母親と三人で半地下の家に住んでいました。元々倉庫だった所を壁一枚で仕切って二軒にしたもので玄関とトイレは共有です。母親は、父親が亡くなってから生きる気力を失い、「死んでしまえばそれでおしまい」が口癖です。そんな母親を気遣いながら生きる二人の唯一の友人は隣に住む少年ナギでした。三人は一緒の時を過ごしながら、成長するにつれそれぞれの悩みもありました。
 貧困や育児放棄、女性差別など現代の社会問題が盛り込まれながらも、童話の世界を思わせる静かな文章の韓国小説です。
                  (N.K)

飯田 裕貴子/著 眞鍋 葉子/著 小学館
 

 2021年1月、私たちは新型コロナウイルスによって、マスクをつけていることが当たり前となっています。マスクは自分だけでなく、周りの人も守るものです。どうして感染症にはマスクを付けることが必要なのか、それを塗りたてのペンキを例にしてわかりやすく解説されています。
 また、人の多い空間では不織布のマスク、屋外などの感染リスクが低い場所では布マスクを使用するなど目的に応じた適正なマスク選びをすることが大切だと著者の2人は伝えています。マスクを正しくつけることの大切さを改めて気付かせてくれます。
                (A.S)
『並行宇宙でしか生きられないわたしたちのたのしい暮らし』『処方箋のないクリニック』
渡辺 優/著 集英社

 「皆がそれぞれの宇宙で生きていて、他人の宇宙は並行宇宙です。」と述べる著者。自身の宇宙を紹介する気持ちで書いたというエッセイ集です。 
 車の運転が異様に苦手、右と左のとっさの判断が出来ない、また、注射のことを考えると笑えてきて大変…など、混乱いっぱいのエピソードに事欠きません。そんな困りごとの連続でさえも、著者の筆にかかると、楽し気に聞こえて来るので不思議なものです。
 さてこの本には、「クワガタ」という言葉が出てきます。皆さんよくご存じの、あの生き物のことを著者の言い方で表したものですが、なんという生き物でしょう。詳しくは、読んでみてのお楽しみです。
                  (A.K)
仙川 環/著 小学館

 青島倫太郎は、弟が院長をつとめる青島総合病院の敷地内にある古い洋館に、自費診療で医療に関するよろず相談を受ける総合内科の看板を掲げています。年中ハーフパンツ姿に白衣を着て、ちょっと風変わりに見える倫太郎ですが、医師としての腕は優秀です。
 運転免許証の返納でもめる親子、高価なサプリを買う母を心配する娘たち、遺伝子検査で結婚危機のカップルなど、ややこしい問題を抱えた人々が彼のもとへやって来ます。倫太郎は彼らの話をじっくり聞き、病気だけでなく悩みやトラブルを改善してくれるのです。
 現実にこんな先生がいたら、病院への足取りも軽くなるかもしれません。

                 (Y.O)
『入浴の質が睡眠を決める』『ヘンな化学』
小林 麻利子/著 カンゼン

 良い睡眠をとるためにお風呂はいいとわかっていたつもりでしたが、入浴の質がいいといい睡眠を高め、生活習慣や仕事の内容の効率が上がり、ダイエットにまでなるとは…完全に「目からウロコ」の一冊でした。
 現代社会は、ストレスで眠れないと悩んでいる人も少なくありませんが、お風呂の温度差、入浴の入り方で、いい睡眠がとれることを具体的に教えてくれます。
 新型コロナの影響で、新しい生活様式を余儀なくされている現代。「入浴と睡眠は1セット」として捉えると免疫力アップにもなり、脳と体を最高の状態に整えることができると言っています。
 著者は、科学的データや研究をもとに2,000名以上の方々の悩みを解決し、サロンも数か月待ちの人気店です。
                    (Y.K)
五十嵐 杏南/著 総合法令出版

 ノーベル賞と言えば毎年素晴らしい研究や活動に贈られる賞ですが「イグノーベル賞」という賞も毎年、研究者に贈られています。ただし、本家のノーベル賞とは異なり、「人々を笑わせ、考えさせた研究」に与えられる賞となっています。
 すでに30年の歴史があり、毎年10の個人やグループの研究に賞が与えられますが、なぜか日本人が毎年受賞の常連となっています。「スピーチジャマー」という話が長い人を黙らせる機械や、聴覚障害者にも通用するわさびを使った火災報知器は日本人が受賞した研究です。
 他にもつい笑ってしまうようなものばかりですが、研究する方はいたって真面目です。そんなユーモアあふれるイグノーベル賞に一度触れてみませんか。           
                 (K.S)