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おすすめの本
 

No.689 令和2年11月

『たべる生活』『絶対に挫折しない日本史』
群 ようこ/著 朝日新聞出版

 
「料理は苦手」とありのままに述べつつ、自身の体の声に真摯に向き合う著者のエッセイ集です。
 「人間の体は、食べたものでできている」という考えのもとに、出来るだけ手間をかけずに、しかし栄養のバランスは入念にとるといった料理法は、大いに参考になります。
 日常の中にあってとても重要な「食べること」。なかなか気が付けないその大切さを訴え、疎かにすることに対して警鐘を鳴らします。
                  (A.K)

古市 憲寿/著 新潮社


 
社会学者であり、書いた小説はニ度の芥川賞候補作となるなど、文筆業のみならず歯に衣着せぬ物言いで、メディアでも活躍している著者。
 本作は「こうやって日本史を読んだら、わかりやすいし、面白いんじゃないですか」という思いで歴史を楽しむコツを語っています。
 専門分野ではないけれど、相変らずの軽妙な語り口で、日本史の当時の世相を現代の世相に置き換えてわかりやすく説明しています。著者ならではの視点で語られた部分も楽しめます。      (Y.O)
『白日』『見えないスポーツ図鑑』
月村 了解衛/著 角川書店

 
社運を左右するといっても過言ではないほどの大規模プロジェクト『子供たちの未来のために新しい学校作り』を進行中に、その部署の上司梶原局長の息子が謎の転落死。事故なのか自殺なのか。
 社内にはいろんな噂が広まり、課長である秋吉と部下は、対応に追われていきます。調査を進めていくうちに、秋吉は衝撃の事実を知る事となっていきます。
 会社という組織の中で屈せず、自分の立場を不利にしないために、常に駆け引きをしながら、また自分の手の内を明かさず、相手を探り会話を引き出しながらの情報戦の中で、秋吉の運命はどうなっていくのか。どう行動して、どこまで突き進められるのか。ストーリーの展開とともに、複雑な気持ちになります。(Y.K)
伊藤 亜紗 他/著 晶文社

 スポーツの感動を目が見えない方にも伝えようと、3人の研究者が議論した結果、「目で見ないスポーツのわかり方」を探ることにしました。ところが、言葉で伝える実況だけでは、動作の質感や臨場感が伝わりません。視覚障害者が美術鑑賞をする際に使われているソーシャル・ビューという方法も卓球のラリーのスピードには追い付けません。
 そこで、スポーツを「翻訳」することに挑戦しました。10種類の競技について、見る「観戦」から、道具を使って体で感じる「汗戦」に変えるため、研究者達が体を張って試行錯誤を繰り返しました。
 果たしてどのような動きでスポーツを翻訳したのか注目です。
                  (K.S)

『探偵は友人ではない』『い肝ば い肝臓!』
川澄 浩平/著 東京創元社

 
海砂真史は中学2年生。「名探偵」である鳥飼歩は学校に通っていない、ちょっと変だけど頭がいい幼馴染みです。
 美術室での奇妙な出来事や、暗号クイズなど真史の周りで起こる日常の不思議な謎を、歩は話を聞くだけで解決していきます。
 しかし、歩とは友人ではなく、依頼者と探偵という関係のため、謎がないと会えないのだろうかと思う真史。少しずつ大人になっていく思春期の様子や気持ちが繊細に描かれています。「探偵は教室にいない」の第2弾です。
                  (A・S)

NPO法人クレブスサポート

 
佐賀県は1999年から19年連続で、肝がんによる死亡率が全国で最も高かったのですが、昨年、20年ぶりにワーストワンを脱却しました。
 この本では、そもそもなぜ佐賀県に肝炎や肝がんの発症率が高いのか、江戸末期からの歴史をさかのぼって教えてくれています。さらに、佐賀県と佐賀大学そして民間のコンサルタント会社との連携で実現した「佐賀方式」という対策についても、具体的に解説しています。
 この「佐賀方式」は、現在では胃がんや糖尿病などの対策にも応用され、日本各地にとどまらず外国でも広く活用されているそうです。    (N.K)