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おすすめの本
 

No.688 令和2年11月

『神様の貨物』『いまはそれアウトです!』
ジャン=クロード・グランベール/著
河野万里子/訳 ポプラ社

 大きな森に住んでいた貧しい木こりの夫婦。「こどもを授けてくださいと」祈り続けるおかみさんのもとに、通り過ぎる貨物列車の小窓から赤ちゃんがほうりなげられます。喜んで小さないのちを守りぬこうと誓うおかみさんでしたが…。
 一見幸せそうな童話に見えますが、この物語の舞台は第二次世界大戦中。どうして木こりの夫婦は飢えに苦しみながら木を伐り続けるのか。貨物列車にぎゅうぎゅうに詰め込まれた人たち、そのなかでどうして赤ちゃんは窓から放り投げられたのか。この意味がわかったときこの物語が持つ深みと悲しみ。そしてその中でも輝き続けるいのちの美しさに気づかされます。
                   (Y・M)

菊間 千乃/著  アスコム

 
 私たちは生活していく上で、法律をはじめとする守るべきルールを無視することはできません。それらは、時代の移り変わりと共に内容が変化しており、昔の当たり前が今では非常識ということも多々あります。また、自分が常識だと思っていても他の人には受け入れられないこともあります。
 本書では、仕事上や人間関係、家族やお金などについて「やってしまいがち」なことを紹介し、どんな法律違反に当たるかをわかりやすく解説しています。
 法律に縛られるのではなく、トラブルに巻き込まれないよう自身の言動を意識することが大切、と弁護士の著者が指南しています。

                  (Y・O)
『死の扉』『未来のサイズ』
小杉健治/著 双葉社

 マンションの10階から転落した青年が心肺停止で病院に運ばれました。意識が戻らないまま2週間後に亡くなり、担当の医師が殺人ほう助の容疑で逮捕されます。苦しんでいる息子を死なせてほしいと家族に頼まれ、手助けをしたという告発があったのです。医師は否認しますが、日頃から安楽死を推進していることで疑いは深まります。一方亡くなった青年は、なぜ住居でもないマンションから転落したのでしょうか?
 真実を突き止めていくミステリーのスリルと共に、安楽死について考えさせられる小説です。
                 (N・K)
俵 万智/著  KADOKAWA

 著者曰く、短歌を詠むことは、日常生活の中で「あっ」と思った心の揺れを味わいなおすことだそうです。
 「今日は火曜日」、「訃報」、「未来のサイズ」等25の歌題に沿って、新しい歌ではコロナ禍を題材にしたものまで足掛け8年をかけて詠じられた418首が掲載されています。
 心の揺れを丁寧に観察し、言葉を研ぎ澄ますという行程を経て生まれた短歌は、読む人の共感を呼び起こし、時には心に新たな風を吹かせます。
 日常の細々を色鮮やかに切り取った、奇跡のような歌集です。            (A・K)

『チーズのひと皿』『我々は、みな孤独である』
Scales/著 立東舎

 チーズは栄養豊富な食品だといわれていますが、その料理法となると意外とワンパターンなのでは?
 この本では、クリームチーズやカマンベールなど、なじみのあるものから珍しい外国のチーズまで53種類のチーズを使ったアイディア満載の料理が紹介されています。
 スパゲッティやリゾットなど気軽にできるものから、お酒に合う料理、デザートなど実に123レシピ!また、簡単にできる自家製チーズの作り方も書かれているので、興味のある方はチャレンジしてみてもいいかもしれませんね。
 見ているだけでも食べたくなる一皿。チーズの味わいをぜひご家庭でお楽しみください。 
(A・S)
貴志 祐介/著 角川春樹事務所

 探偵・茶畑徹朗の元に「前世で自分を殺した犯人を捜してほしい」という依頼がありました。調べようのない「前世」の調査などもちろん経験がありませんでしたが、お金を持ち逃げされ事務所が破産寸前だった彼は、高額報酬が約束されたこの依頼を受けることにします。
 当初は、適当な調査結果を依頼人に渡して、この一件を終わらせようと考えていましたが、調査を進めるにつれて前世の存在が見えてきたのです。
 次第に彼自身の前世の記憶も呼び起こされ、それは時代をさかのぼり様々な人生へと繋がってゆくのでした。                 (A・K)