予約について

おすすめの本
 

No.687 令和2年10月

『志村けんの160の言葉』『宇宙飛行士、「ホーキング博士の宇宙」を旅する』
志村けん/著 青土社

 今年の3月に新型コロナウイルスによって亡くなられた著者。
 本書は、インタビューや対談等における発言を再構成したものとなっています。
 「僕はね、人の笑った顔が好きなんですよ」「お笑い以外の道は考えなかったです」そんなインタビューから著者の一貫した生き方が伝わってきます。
 160個の中には「待っていたって何も起こらないんだ」という背中を押してくれる言葉も。また、プライベート写真や加藤茶さんの「まえがき」にも、著者の魅力がいっぱい詰まっています。
                 (A.S)

若田光一/著 日本実業出版社

 
 本書では、車椅子の天才宇宙物理学者と呼ばれた、スティーヴン・ホーキング氏が遺した思索に富んだ数々の名言を手掛かりにしながら、宇宙飛行士の若田光一さんが科学・人間・未来など様々なテーマについて語られています。
 「ホーキング博士の脳内の宇宙を、私が宇宙飛行した」と本書について書き記されていました。実際の宇宙に行った著者は、どんな答えを紡ぎ出すのでしょうか。
 広大な未知の世界に思いをはせつつ、自分自身や身近な世界を見つめ直させてくれる一冊です。
                 (K.A)
『われもまた天に』『人生で大事なことはみんなコリラから教わった』
古井由吉/著 新潮社

 一人の年老いた男が何度目かの入院、手術、病室のベッドの上で外を眺め、退院、杖をついて外出し道に迷い、再入院…。そうした日々の中で、ふとしたきっかけから忘れかけていた記憶がよみがえり思い出を懐かしみ、亡き人を偲ぶ。
 自伝のような、日記のような、散文のような、覚え書きのような、静かな独特の文章が続きます。
 今年2月に亡くなった著者の最後の作品集です。巻末には書きかけの遺稿が収録されており、独自の世界を追い求めて最期まで書き続けた作家の様子を窺い知ることができます。
                 (N.K)
 
山極寿一/著 家の光協会

 長年、ニホンザルやゴリラの野外研究に従事した著者。ゴリラの群れに入り、ともに暮らしてみることで、つぶさにその生態を観察してきました。
 ゴリラを見つめることで、人間社会にあるおかしな特徴が浮き彫りになると著者は考えます。一方、一見ゴリラとは違う行動でも、その原理は共通するのではないかとも語ります。また、ゴリラとサルの違いを見ることで、人間の行動の本来の姿が見えてくるそうです。
 情報化社会に生きる私たちの忘れ物が見つかるかもしれません。
                 (A.K)
『ワトソン力』『ルポ車上生活』
大山誠一郎/著 光文社

 昔も今もミステリーの醍醐味といえば犯人を言い当てる謎解きですが、実はその謎解きを陰ながら助けている力が存在するとしたら…。
 和戸宋志は小学生の頃、自分には周りの人間の推理力を著しく飛躍させる力を持っている事に気づきます。その力を「ワトソン力」と名付けた和戸は、自分の力を活かせる仕事として刑事を選び、その力をいかんなく発揮していました。ある日、和戸は仕事帰りにいきなり誘拐されてしまいます。その誘拐の原因が、自分のワトソン力だと気づいた和戸は、非番の時に出会った事件から、誘拐犯人を自分自身で推理することに…。
 果たして和戸の誘拐犯は、一体だれ?
                 (A.U)
NHKスペシャル取材班/著 宝島社

 車上生活をしていた家族に起きた事件が、NHKで報道番組を担当していたディレクターの目にとまりました。事件の背景に「車上生活」という思いもよらない現実があることを知り、そこを探るドキュメンタリー番組の制作に取り組みます。
 貧困や孤立によって車上生活に追いやられた人、一方で、住む家がありながら亡き人との思い出や家族支援のために自ら車上生活に身を置く人。そんな人々が、なぜ車中の人となったのかを知れば知るほど、番組制作者たちは困惑や葛藤にさいなまれました。
 NHKで番組が放映され話題となりましたが、放送では伝えられなかった車上生活の現実が浮き彫りにされています。
                 (Y.O)