令和2年度10月号


『令夢の世界はスリップする』

 はやみね かおる/著  講談社 

 三年前に事故で亡くなったお母さん。それなのに、今朝、令夢は朝ごはんの支度をしているお母さんの声で起こされました。彼女は今、お母さんが事故にあわなかった世界にスリップしているのです…。
 令夢の不思議なスリップするという能力。自分の意志ではどうすることもできないその能力は、校舎の落書き事件を解決へと導くことができるのでしょうか。





『病魔という悪の物語』

 金森 修/著  筑摩書房

 メアリー・マローンは雇い主から信頼されるお手伝いさんとして働いていました。そんな中、彼女が仕事をした家庭では、次々に腸チフス患者が発生。しかし、詳しい調査は行われないままでした。その後、彼女は健康状態が良好でありながらも体内に菌を持ち続ける健康保菌者だったということがわかると、自由を奪われ、病院に収容されたのです。自身に自覚がないまま感染を広めてしまった彼女。チフスのメアリーとして恐れられた、100年前のアメリカでの実話が記録されています。





『学校に行きたくない君へ 続』

 全国不登校新聞社/編  ポプラ社

 「不登校新聞」って知っていますか?これは、日本で唯一発行されている不登校の情報紙です。“子ども若者編集部”の不登校やひきこもりの当事者たちが議論し、聞き手となり、執筆しています。
 この本に収録されているのは、これまでの不登校新聞に掲載された17本のインタビュー記事。タレントの中川翔子さんやイラストレーターのヨシタケシンスケさんなど、現在活躍中の著名な人たちが不登校やひきこもりの経験を語っています。
 一生懸命に生きる人たちへのメッセージが詰まっています。





『できちゃいました!フツーの学校』

 富士晴英とゆかいな仲間たち/著  岩波書店

 著者の富士晴英氏は30代の頃から教職に就き、現在は東京の私立中高一貫校で校長を務めています。校長になる前に「あなたは、この学校をどんな学校にしたいのか?」と問われて、浮かんだ言葉は「知的で開放的な広場」。学校を活気にあふれ、自由に意見が交わせる場所、そして、失敗をおそれずに挑戦しようとする場所にしようと、生徒や教師<ゆかいな仲間たち>との対話を大事にしながら、みんなで創っていきます。楽しそうな学校の様子を覗いてみませんか。



『ぼくの「自学ノート」』

 梅田 明日佳/著  小学館

 高校三年生の梅田明日佳さん。小学三年の頃から、新聞記事の感想や旅行記などを記録した「自学ノート」を書き始め、現在では27冊にもなっているそうです。この本には、そんな彼の取り組みが紹介されています。
 「僕は決して、放っておいても本を読むような立派な子どもではありませんでした。」という彼ですが、知りたいことはどんなことでも本で読めると気づき、わからない言葉を調べたり、関連する本を読んだりしています。特に、幼い頃からの読書記録には、興味深いものがあります。