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おすすめの本
 

No.680 令和2年7月

『「育ちがいい人」だけが知っていること』『わたしの全てのわたしたち』
諏内 えみ/著  ダイヤモンド社

 「育ちがいい人」とは生まれ育った環境が良く、特別な人と思いがちですが、マナー講師として活躍する著者は、普段の立ち振る舞いや言葉使いを意識することで自然と育ちの良さは身につけられると説いています。例えば、ドアの開け閉め、お辞儀の仕方、相手への気遣いなど。心に余裕を持って接すれば周りの人も自分自身も気持ちよく過ごすことできるのです。
 本書では、話し方や身だしなみなど257項目にわたるマナーや美しい所作を指南しています。できることから実践して、育ちのよさを手に入れましょう。
(Y.O)

サラ・クロッサン/著 最果 タヒ/訳
金原 瑞人/訳 ハーパーコリンズ・ジャパン


 腰から下がつながった状態で生まれた結合性双生児の少女二人の青春を、アイルランド人作家が詩の形式を用いて描きました。それを翻訳家・金原瑞人が小説として訳し、詩人・最果タヒが「日本語の詩の小説」として再翻訳。一人称の小説を詩で表現するという美しさを目で追っていくと、個人の独り語りは人の体を通してこぼれ落ちてゆく詩の一篇であることに気づきます。また、内容ももちろんですがこの本、文字組みが素晴らしいのです。
 紙の質、フォント、余白の空間、全てを使って言葉が持つ余韻を味わってください。    
(Y.M)
『食っちゃ寝て書いて』『夜の向こうの蛹たち』
小野寺 史宜/著  KADOKAWA

 ここ数年ヒット作を生み出せず、停滞気味の作家・横尾成吾。50歳を目前にして、進行中だった長編小説「トーキン・ブルース」のボツを言い渡されてしまいます。他の担当者に引き継がれた彼の作品。そこで新しい担当である若手編集者・井草菜種に出会います。彼は、一流大学を出て大手出版社に入社し順風満帆な人生を謳歌している……かと思いきや、彼にも複雑な悩みがありました。
  人生停滞中な2人の出会いは、それぞれの仕事への思いを変化させていきます。二人三脚で作りあげる彼らの物語は、どのような結末を迎えるのでしょうか。      
(A.K)  
近藤 史恵/著  祥伝社

 主人公である小説家の織部妙は、ある日、話題の新人作家の橋本さなぎの作品に衝撃を受けます。文学賞パーティーで2人は出会いますが、織部はその中にいた1人の女性が気になりました。その名前は初芝裕。橋本の秘書として紹介されます。しかし、織部は橋本の完璧すぎる受け答えや2人の話し方に違和感を覚え、ある疑問が浮かびます。橋本と初芝の関係とは…?
 自分の容姿や欲望、嫉妬、寄生といったテーマで描かれ、3人の女性が織りなす心理サスペンスです。
(A.S)
『不良』『香港デモ戦記』
北野 武/著 集英社

 時は1960年代。中学校で出会った4人の少年たちの物語です。4人は、リーダー格の吉岡を中心に、ケンカやカツアゲ、飲酒喫煙を繰り返す問題児の集団になっていきます。
 中学3年生になった年、吉岡は兄の後を追ってヤクザの道に入ります。あとの3人も紆余曲折を経て、結局はヤクザの道へと続くのでした。
 全体的に通じるテンポの良さで、最後まで夢中で読み進められます。
 読み終わったあとに改めて表紙を見ますと、これは少年たちが本当に幸せだったであろう日常の一コマで
はないかと思われて、胸に迫るものがあります。  
                  (A.K)

小川 善照/著 集英社 

 以前から香港に頻繁に足を運び、社会運動の取材を続けている著者が、デモ隊の中に入り若者たちにインタビューしています。
 ある青年は、「ぼくオタクなんです、アイドル好き!」と言いながら武装警官を挑発していました。
 また、流ちょうな日本語を使ってインタビューに答えている「民主の女神」こと周庭は、「内気で日本のアイドルやアニメにしか興味がなかった」という生い立ちを語っています。
 こうした、日本にもいそうな普通の若者たちがなぜ過激な行動をとり続けるのでしょうか。香港の歴史的経緯、社会的背景や教育改革について説明し、香港の若者たちの追い詰められた現状を伝えています。香港デモの実情を知る一冊です。
(N.K)