令和2年度5月号


『窓』

 小手鞠 るい/著  小学館

 窓香の家族は、父の仕事でアメリカに引っ越すことになりました。数年後、再び日本に戻ることになりますが、母はそのままアメリカに残ると言います。ついに両親は離婚し、それぞれの人生を歩く決心をしたのでした。
 あれから数年後、海外から窓香の元に小包が届きます。入っていたのは離れて暮らす母の日記。そこには変わらない家族への愛情、そして一人の女性として力強く生きる母の姿が綴られていました。




『ほんとうの願いがかなうとき』

 バーバラ・オコーナー/著 中野 怜奈/訳  偕成社

 家族と離れ、田舎町のコルビーで一度も会ったことのない伯母夫婦と暮らすことになったチャーリー。一番星や四つ葉のクローバーなど、毎日幸運の印を見つけては、願い事をしています。初めは周囲とぶつかっていた彼女ですが、クラスメイトであるハワードや伯母夫婦の優しさに触れ、少しずつ心を開いていきます。





『わたしの外国語漂流記 
未知なる言葉と格闘した25人の物語

 阿部 賢一/[ほか]著  岩波書店

 プナンという狩猟採集民族が話す「プナン語」、実は“文字がない”言語なんです。音でのみ大切に代々伝えられてきた言語。一体どんなものなのでしょうか。
 その他にも、様々なシチュエーションで外国の言葉に触れてきた各界の25名が、自身の外国語体験を語ります。人と人を結びつける重要な道具として、世界各地で守られてきた言語を知ることができますよ。



『ぼくらの中の「トラウマ」 
いたみを癒すということ

 青木 省三/著  筑摩書房

 誰にでも大小それぞれの「トラウマ」があります。些細なきっかけでその苦しい記憶がよみがえることもありますよね。まずはそのいたみを自覚し、自分の中で対処することが大切です。
 しかし、だからと言って心を押さえつけてはいけません。この本では、過去と向き合いながら上手に生きる方法を、事例とともに解説します。一人で苦しまず、まずはこの本を手に取ってみてください。




『新編 銀河鉄道の夜』

 宮沢 賢治/著  新潮社

 貧しい少年ジョバンニは、家計を支えるため学生でありながら働きに出ています。そんな彼をからかういじめっ子たち。ただ一人、親友カムパネルラは違いました。
 星祭の夜、川辺でいじめっ子に出くわしたジョバンニ。そこにはカムパネルラもいました。いじめっ子に声をかけられたジョバンニは、嫌気が差して小高い丘まで駆けて行きます。独りで夜空を眺めていると、どこからか列車の音が聞こえ、ふと気が付くとそこは銀河を走る列車の中。そこにはなぜかカムパネルラもいて…。