令和2年12月号


梨の子(なしのこ)ペリーナ~イタリアのむかしばなし~

イタロ・カルヴィーノ/再話 関口英子/訳 酒井駒子/絵 BL出版

  むかし、梨の木(なしのき)をそだてる男(おとこ)がいました。ある年(とし)、王(おう)さまにおさめる梨が少(すく)なく実(みの)り、困(こま)った男はむすめを梨のかごに入(い)れ、倉(くら)に運(はこ)びました。
 女の子(おんなのこ)は王さまの
台所(だいどころ)で働(はたら)くことになりました。ペリーナとよばれた女の子は、てきぱき仕事(しごと)をし、みんなに好(す)かれ、王子(おうじ)さまとも仲(なか)よくなりました。ところが、ほかのめしつかいたちが、ありもしないうわさをながしたのです。それはペリーナが魔女(まじょ)の宝(たから)ものをとってこられるというものでした。





ルイス・スロボドキン/作 小宮 由/訳 瑞雲舎

 むかし、南(みなみ)の海(うみ)のそこに、人魚(にんぎょ)の国(くに)がありました。人魚の国には学校(がっこう)があり、たくさんのことを学(まな)んでいました。中でもたいせつなのは、歌(うた)のじゅぎょうです。いわの上にすわり、くしでかみをとかしながら歌をうたうのが、なによりもだいじなことなのです。
 でもひとりだけ歌がにがてな人魚がいました。赤(あか)いかみをしたシンシアという人魚です。どの勉強もとてもじょうずでしたが、歌だけはうまくいきません。シンシアは歌がすきでみんなとうたいたかったのですが、その声(こえ)は大きくてとてもひどかったのです。


        低学年から

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ルドルフとノラねこブッチー~ルドルフとイッパイアッテナ 5~

斉藤 洋/作 杉浦範茂/絵 講談社

 ぼくはルドルフ、黒(くろ)ねこだ。飼(か)いねこだったけれど、あることで東京(とうきょう)までやってきた。最初(さいしょ)に知り合ったねこはイッパイアッテナ。字の読み書もできる教養(きょうよう)のあるボスねこだ。そしてノラねこをやっている白と黒(しろとくろ)のぶちねこのブッチー。
 お正月が近づいたある日、今まで字に興味(きょうみ)をしめさないブッチーが字をならおうかなといいだした。そのころぼくはブッチーのもとの飼い主(かいぬし)が近所(きんじょ)にいたらしいと聞いたんだ。






日向理恵子/作 吉田尚令/絵 童心社

 ルウ子とサラは図書館(としょかん)のおくへ進(すす)み、カタツムリの人形に呪文(じゅもん)をとなえます。人形は走りだし、本棚(ほんだな)の迷路(めいろ)のむこう、木の扉(とびら)があらわれます。本のにおいがむかえる雨ふる本屋です。
 本屋の助手(じょしゅ)の舞々子(まいまいこ)さんは、ルウ子たちがくると、まっ先(さき)にむかえてくれます。ところが、舞々子さんは夢中(むちゅう)で本を読んでいます。どんなお菓子(かし)でもつくれる舞々子さんでも難(むずか)しいお菓子で、そのレシピにいどむか迷(まよ)っているのです。そのせいで、みんなのお茶の時間がなくなって…。