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おすすめの本
 

No.657 平成31年7月

『SDGs入門 』『寂聴先生、ありがとう』
村上 芽・渡辺 珠子/著  日本経済新聞出版社

 最近よく聞く「SDGs(エスディージーズ)」とは「持続可能な開発目標」のことです。この本はSDGsを分かりやすく解説するだけでなく、SDGsとビジネスがどのように結びつくのか、またこれから取り組む場合にはどう踏み出せばよいかという点を2人の著者が述べています。
 企業やビジネスの中ではすでに取り組んでいて「SDGs実施指針」のテーマに挙げられているものに、女性の活躍、エネルギー利用やCO2の削減、森林や生態系の保護などがあります。SDGsは世界に通じるゴールなので、実現までが遠いのですが、この本を読んでみると身近な取り組みからSDGsへつなげていく方法もあることが分かりますので、実践のために参考になる一冊です。
(K.S)
瀬尾 まなほ/著  朝日新聞出版

 100歳ながら、いまだ現役の作家として活躍中の瀬戸内寂聴さん。その寂聴さんを支えているのが66歳年下の秘書である著者です。
 若さゆえの怖いもの知らずで飛び込んだ寂聴さんのところでは、仕事のイロハから、生きていく上で大切な道標となることまで、いろいろな事を学んでいきました。この本は、そんな寂聴さんと共に過ごした8年間の出来事を綴ったエッセイ集です。
 初著作である「おちゃめに100歳!寂聴さん」を出版してから、いろいろな不安に襲われる著者にさりげなく寄り添う寂聴さん。今まで著者が真剣に仕事をする姿を見て、寂聴さんも彼女にいろいろな事を伝えていきたいんだなあという気持ちが伝わってきます。
(A.U)

『なにしろ、親のごはんが気になるもので。』

『図書室』
金子 文恵/著  家の光協会

 著者は遠く離れて一人で暮らす認知症の父親のために毎月一回、実家に帰っています。初めの頃は、「きんぴらごぼう」「ハンバーグ」など作り置きを一品ごとにタッパーに入れて冷凍していたのですが、次に来てみるとあまり減っていません。父親にとってはどれかを選ぶことが面倒なのだということに気づき、数種類のおかずを合わせた「冷凍おかずセット」を作り始めました。
 この本では長年の経験から、作り方のコツをたくさん教えてくれています。
(N.K)
岸 政彦/著  新潮社

 主人公は一人暮らしをしている50歳の女性。小さい頃から母と二人で暮らしてきましたが、中学卒業直前に母が突然亡くなってしまいました。しかし、今では定職に就き、不満なく暮らしています。
 
そんな彼女が、雨の降る日曜日に思い出すのは、小学生の頃に通った小さな図書室のことです。気に入った作品を何度も何度も読み返し、本の世界に没頭していたことや、図書室で出会った男の子との会話など…。昔のことを振り返るたび、あの図書室のことが思い出されるのです。
 一人の女性が懐かしい子ども時代を回想します。

(R.K)
『愛してるって言えなくたって』『ふるさとって呼んでもいいですか』
五十嵐 貴久/著  祥伝社

 もうすぐ40歳になる門倉課長は読書好きで、妻子あるいたって普通のサラリーマンです。
 門倉の部署の欠員補充で、新たに採用された加瀬夏生のことが気になってしまい、ついには恋心を抱き始めてしまいます。酔った勢いで予想もつかぬ行動に出たり、加瀬に絡む取り引き相手に嫉妬したりと、彼の挙動にはハラハラし通しです。課員たちの思いまでも巻き込んで、この気持ちにどう決着をつけるのでしょうか。
 そんな門倉の心情は、読書好きの彼の心を動かした本(実在します)の題名に乗せて描かれています。その本も読んでみると一層物語を楽しめることでしょう。 
(A.K)
ナディ/著  大月書店

 イラン・イラク戦争の影響で生活が困難になり、両親と弟二人で共にイランから日本へやってきた著者。当時6歳で、「おしん」や「水戸黄門」のドラマでしか知りえなかった日本に、一抹の不安も抱くことなくワクワクした気持ちでやってきました。しかし、言葉や習慣の違い、何より外国人を見る目など、幾重にも大きな壁が彼女の前に立ちはだかります。
 つらい時期、楽しい時期を経て28年間の日本の生活で体験したことや、今だからこそ伝えられる心の内を素直に綴っています。
 
日本を大好きだと言う外国人も多い昨今。私たちは異文化の人だと敬遠せず、もっと身近な存在として感じることが大切だと痛感します。
(Y.O)