令和2年4月号



工藤直子/文 あべ弘士/絵 童心社

 ちいさなつぶから ちいさなちいさなちび竜(りゅう)がうまれたよ。きがつくと、ちび竜(りゅう)はぴんぴんだれかとおどっていた。水(みず)たまりの中(なか)でボウフラたちは、みんなでちび竜がうまれるのをたのしみにまっていた。ちび竜(りゅう)はでか竜(りゅう)になるためにハネをふるわせ、水(みず)たまりからとびたった。キラキラのハネがあさひのなかでにじいろにひかる。てんとうむしがびっくりうっとり、ちび竜をみているよ。
 ちび竜はとんで、たんぽぽにとまった。たんぽぽが「どこへいくの?」ときいたら「とおくへいきたいんだ」とこたえた。たんぽぽのわたげたちもとおくへいこうと風(かぜ)をまっていた。ちび竜はわたげにつかまって、ようい・どん!ととびたった。





ホープ・ニューウェル/作 松岡享子/訳 降矢なな/絵 福音館書店

 ながいあいだ、小(ちい)さなおばあさんはきいろい家(いえ)でいそがしくすごしてきました。ねずみとがちょうのせわをし、うちじゅうをそうじします。スープばたけの手入(てい)れをし、いちばへでかけます。そのあいまにあたまをつかいました。あたまをつかい、しごとをうまくするやりかたをみつけると、ひまなじかんさえもつことができました。ある日(ひ)、おばあさんはおひさまがあがったばかりなのにしごとがおわってしまいました。ゆりいすにすわりのんびりすることにしました。すると「とおりがかった人(ひと)が入(はい)ってきて、おしゃべりをしてくれたら」とおばあさんはいいました。けれどもだれもうちによってくれません。おばあさんはそのりゆうをよくかんがえることにしました。


        低学年から

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茂市久美子/作 こみねゆら/画 あかね書房

 町(まち)のはずれに、「平井洋裁店(ひらいようさいてん)」という仕立て屋(したてや)さんがあります。カタカタと、足(あし)ぶみミシンの音(おと)がきこえてきます。ミシンをふんでいるのは年(とし)をとった平井(ひらい)さんです。2月(がつ)のある日(ひ)、お店(みせ)のまえに、たいこのばちがおちていました。平井さんは「落とし物(おとしもの)、おあずかりしています」と張り紙(はりがみ)をしました。雪(ゆき)がふりしきる夜(よる)、こたろうという男の子(おとこのこ)がうけとりにきました。頭(あたま)に小(ちい)さなつのがはえた鬼の子(おにのこ)でした。つぎの夜(よる)も、こたろうがやってきました。びっくりした平井さんに、小(ちい)さなたいこをさしだしました。たいこのかわが、やぶれて大(おお)きなあながあいています。こたろうは「いちばんの仕立て屋さんになおしてほしい」というのです。それは春(はる)がやってくるのが見(み)えたら、みんなに知(し)らせる春のたいこだったのです。






新藤悦子/作 佐竹美保/絵 ポプラ社

 イラン生(う)まれのアリババは、アメリカの大学(だいがく)で研究(けんきゅう)をしていて日本にやってきました。一緒(いっしょ)に暮(く)らすのは銀色(ぎんいろ)のペルシャ猫(ねこ)で名前(なまえ)をシャイフといいます。初(はじ)めて猫(ねこ)に会(あ)った時(とき)「ぼくをつれてって」と聞(き)こえたのです。シャイフは長老族(ちょうろうぞく)の猫(ねこ)なので人間(にんげん)の言葉(ことば)がわかり、アリババも猫語(ねこご)がわかりました。子(こ)どもの頃(ころ)アリババがかわいがった猫もシャイフといいました。シャイフはテレビを見(み)て日本語(にほんご)をおぼえ、散歩(さんぽ)はアリババの肩(かた)に乗(の)って出(で)かけます。ある日(ひ)、アリババに海外出張(かいがいしゅっちょう)の仕事(しごと)が入(はい)ります。困(こま)ったアリババはシャイフを友(とも)だちの店(みせ)にあずけました。そこは世界(せかい)の民芸品(みんげいひん)が集(あつ)まる「ひらけごま」という店(みせ)です。夜(よる)になり店が静(しず)かになると、シャイフにはいくつもの声が聞(き)こえてきました。それは店にある民芸品(みんげいひん)たち、グラスや人形(にんぎょう)がおしゃべりをはじめて…。。