平成21年7月号



佐藤 多佳子/作 (日本標準)

 学とくるみは、古いマンション「みつばコーポラス」に住んでいる兄妹です。
ある日、学は、住人たちはほとんど寄り付かない裏階段で、金茶色のかわいい子猫を見つけるのですが、この子猫がたまねぎ大好きのちょっとかわった猫だったのです。そして、おとうさん・おかあさんを巻き込んで大騒ぎが始まります。
人間の言葉をしゃべる猫やクモのはなし、もくもくおばけのはなしなど、不思議な三つの物語が収められた一冊です。



長谷川 真理/著 (主婦の友社)

 オスのアメリカンショートヘア「銀」のことを綴るブログ「アメショっす!」から、かわいい写真とコメントがいっぱい紹介された一冊です。
ひなたぼっこをしていたり、ケーキを食べようと狙っていたり、極悪顔の写真には思わず吹き出してしまいます。
「銀」の次に家族の一員に加わったメス猫「ラム」との二匹が、猫好きにはたまらない表情をみせています。



齋藤 孝/著 (筑摩書房)

 今年の6月19日で生誕100年を迎えた太宰治。昭和23年に38歳で亡くなってからも、数多くの人々にその作品は、読み続けられています。
なぜ、太宰治の小説は広く人々のこころに染み入るのでしょうか?
『声に出して読みたいシリーズ』で有名な齋藤孝さんは、傷つきやすさとプライドの間で、命がけで言葉を刻み、いい作品を書きたいとあがきながらも、絶望する姿が、十代の青春の悩みと似ているのではないかと述べています。
人生の壁に打ち当たった時に読みたい『斜陽』『富嶽百景』などの18作品が、わかりやすく解説されています。



福田 隆浩/著 (講談社)

 田舎町の小さな診療所で、真っ赤なカーリーヘアをした女医さんが大活躍。
古株の看護師さんからは、いつも怒られている程の自由奔放な人なので、周囲の人をハラハラさせているけれど、事件が起きる度に「アン先生」の大ファンはどんどん増えていきます。
「赤毛の女医 アン」に続く本書では、ログハウスやツリーハウスで巻き起こる事件をめぐって、新人看護師ひとみちゃんの目を通した元気で、やんちゃだけれど、とても暖かい人柄のアン先生が生き生きと描き出されています。