平成25年4月号



山本 幸久/著 ポプラ社

 新聞部の取材中、小説家志望の僕は、上野の大仏の前で謎めいた美少女と出会った。不思議な記念写真の撮り方をする彼女は、修学旅行で東京に来たというが、何か隠している目的があるようで・・・・。
チビで、やせっぽちのさえないボクと、同じ中二の少女との秘密の小さな旅。
ちょっとドキドキでも、明るく楽しいリトルラブストーリー。



トニー・ディテルリッジ/作 ぶんけい

 生まれてからずっと地下シェルターで暮らしていた12才の少女、エバ・ナイン。
一緒に暮らしているのは、教育係のロボットマザーだけだ。エバは、地下シェルターを出て自分以外の人間に会いたいと願うがマザーは、まだだめだと許してくれない。
そんなある日、突然、地下シェルターが何者かに破壊され、侵入されてしまう。エバは、何とか地上に逃げ出すのだが、そこで見た風景は、想像を絶するものだった・・・・。



山本 忠尚/著 論創社

 考古学者は、普段どんなことをしているのか。断片的なイメージは持っていても、具体的に仕事の内容を知っている人は、そんなに多くはないだろう。
奈良国立文化財研究所、天理大学に長く勤めた考古学者の著者が、ユーモアあふれる語り口で、発掘現場に欠かせない「七つ道具」のことや、歴史の名探偵になるための「分類」の方法などについて教えてくれる。
へそ曲がり探偵と称する著者が推す「世界の発掘」は、「ポンペイ」「バーミヤーン大仏」「アルプスの凍結ミイラ」「石舞台古墳」など。
遠い昔に思いを馳せ、夢とロマンがいっぱい詰まった一冊となっている。



キャスリン・アースキン/著 明石書店

 アメリカ、バージニア州の小さな町の中学校で、銃乱射事件が起こった。
10才の少女ケイトリンは、他人の気持ちが読み取れないアスペルガー症候群だが、この事件で、唯一の理解者であり、頼りにしていた兄を亡くしてしまう。
お兄ちゃんのことを考え、お兄ちゃんを思い、お兄ちゃんの無念、悲しみを自身の気持ちと重ね合わせることができた時、ケイトリンは、初めて「共感」を感じ、この言葉をきっかけに、社会で生きるために大事なことに気づいていく。
訳者のニキ リンコ氏は、ケイトリンと同じアスペルガー症候群。主人公の気持ちになって、「クールに共存して」とあとがきで述べている。