平成22年11月号



塩野 七生/著 (朝日出版社)

 16才の日比谷高校時代に、ある本がきっかけで、はまってしまった「地中海世界」を勉強するために、ギリシャ語・ラテン語を学び、70才を越えたいまでもイタリアに住み続けている塩野七生さん。自分の人生を振り返りながら、教養の身につけ方、勉強のやり方など「本当に大切なことは何か?」を説いています。自分を磨き、世界のどこででも生きていける強い人間の作り方を伝授してくれます。



植村 花菜/著 (講談社)

 「トイレには、それはそれはキレイな 女神さまがいるんやで。・・・」おばあちゃん子だった作者が歌う「トイレの神様」は“みんなのうた“など、テレビでもよく耳にします。とてもとてもかわいがって、大事にしてくれて、ちゃんと育ててくれたおばあちゃんを一人置いて上京したことの後悔が、大好きなおばあちゃんが亡くなった後に、歌になって、そして、絵本になりました。「おばあちゃん、おばあちゃん、ホンマにありがとう。」



あべ弘士/著 (河出書房新社)

 旭山動物園の飼育員だったころ、「命を預かる」ことにいつも悩み・考えていたあべ弘士さんは、25年間の動物達との濃いつきあいからさまざまな“生と死”を目の当たりににしてきた。動物園ではアオダイショウにはマウスを、ライオンにはウサギのイキエサが与えられる。餌となって他の命の中で生きる、これも一つの「死の形」。今、絵本作家として著者は、自分にたくさんのことを教えてくれた動物達の「ピカピカ輝く命」を描き続けている。



北野 勇作/著 (福音館書店)

 長い休眠から目覚めた少女型人工知能セルロイド人形のアリスは、カメ型子守ロボット「万年1号」の宣伝ショーをすることになる。未来の地球は、海と大陸が泥で覆われ、あらゆるものが泥から生まれ泥に還っていく青くない地球だった。その泥の世界に住んでいるのは「ヒトデナシ」。なかなか人間が見つからないところで、アリスと万年1号は使命を果たすために冒険に出かける。夢の部分は黒地のページ、アリの巣に入れば、文字の間にたくさんのアリなど楽しい試みが満載のSF小説。