平成22年12月号



カール・ハイアセン/著 (理論社)

 ミセス・スターチはトゥールマン学園(中学校)内で最も恐れられている生物の先生だった。その先生が、湿地での校外学習の最中、突然姿を消してしまう。主人公のニックは、放火前歴のある問題児ドゥエーンと優等生のリビーたちと一緒に、先生を探す冒険に乗り出す。アメリカで生息状況が100頭に満たないと確認され、絶滅危惧種のフロリダ・パンサーをキーポイントとした、ユーモア・ミステリー作品。



川端 康男/著 (農文協)

 平成に入ってからさえも、「北海道旧土人」としてアイヌ差別が続いていた北海道の日高地方に、大正時代「コタンの赤ひげ」と呼ばれたお医者さんがいました。アイヌも和人も差別せず、自分自身はお金や名誉を望まずに、苦しい生活を送りながらも、貧しい人からは治療代も取らず、町医者に徹した高橋房次さん。そのやさしくも頑固な生き方は、アイヌの人々に語り継がれ、平成20年に地元白老町民劇として演劇化されましたが、さらに没後50年の今年、伝説の医師「高橋房次物語」として本書が出版されました。



池上 彰/編 (日経BP社)

 今の日本があるのは、第二次世界大戦直後、焦土と化し、餓死寸前だった人々に食料援助をしてくれた先進国からの「国際協力」のお陰なのです。健康問題や食料供給、インフラの整備などに社会不安を持つ途上国の人々と足並みを揃えて、力強くプロジェクトを進めていく「国際協力」が、多くの日本人によって取り組まれています。水や命、さらには教育問題などについてJICAの理事長である緒方貞子さんの他、7人の専門家が未来の世界を救う若者に語りかけています。



浅井 建爾/著 東京書籍

 日本は小さな島国だと思っていませんか。じつは、世界で9番目に広い国なのだそうです。しっかりと、じっくりと地図帳を見ているとわかってくること。「日本一暑い町は?」「日本一長い川と最短の川は?」「日本一低い山は?」等など、67のくらべる項目が、日本への興味をより深いものにしてくれます。