平成23年1月号



濱野 京子/著 (あかね書房)

 転校を繰り返すうちに、友だちとの関係も適当にやり過ごすようになっていた主人公の守口桂。中学2年生になった春、彼女は新しい学校で不思議な出来事に遭遇する。家の近くにある「竜の木」の下で、友だちになった優等生の麻琴とそっくりな少年マ・コ・トから呼びとめられたのだ。その出会いが、わざと希薄な人間関係を求めていた桂の日常を変えていく。真の友情を見つけるために揺れ動く少女たちの心情を描いた青春小説。



藤野 英人/著 阪急コミュニケーションズ

 もし、「タケコプター」が本当に製作されたら、世の中はどうなるでしょうか。予想価格30万円最高時速80㎞/hバッテリー駆動8時間著者の藤野氏は、人々の生活や社会、文化、経済にどんな影響が出てくるかを、かなり真面目に考えています。「通勤が一斉にタケコプターになり、空の交通規制が始まり、保険、警備などにビジネスチャンスが生まれる」と。他にも、「どこでもドア」「ガリバートンネル」「カッカホカホカ」など。想像力の翼を広げ、私達の未来を考えてみましょう。



新井 満/著 (講談社)

 「千の風になって」の作者である新井満さんが、母校の新潟市立寄居中学校2年2組で行ったのは、生きているという「いのち」を感じる授業でした。27名一人ひとりが、一番大切にしているものを紙に書き出し、それを燃やして、その時の気持ちをまとめてみる。生徒たちは、この授業に驚き、怒り、泣き、そして死を悟り、生きることの大切さを感じとっています。本書は、NHKテレビ「課外授業 ようこそ先輩」で放送されたものを基に、多くの写真と文章で書籍化されたものです。



野口 聡一/ツィート&メッセージ (集英社インターナショナル)

 およそ半年にわたる宇宙生活の間、宇宙飛行士の野口聡一さんは、地球の姿を撮り続けていました。163日間で、地球を何千周もして、真っ赤なサハラ砂漠、雪をかぶった富士山、北京の夜、世界遺産のモンサンミシェル等たくさんの美しい写真ができました。それらの作品から、自然や宇宙の不思議さに対して、すなおに感動する心=センス・オブ・ワンダーの大切さを野口さんは語っています。