平成23年2月号



国松 俊英/著 岩崎書店

 織田信長の妹「お市の方」と浅井長政の間に生まれた美人三姉妹の末子「お江」は、戦国時代、天下取りの道具とされて、時代に翻弄されたお姫様です。1歳で父と死別し、12歳で佐治一成と結婚するが、すぐに離別させられ、20歳で羽柴秀勝に嫁ぎ死別、徳川の世になり2代将軍との結婚でやっと、54歳までの間平穏な生涯を送っています。年表や解説も付いて、今年のNHK「大河ドラマ」放映で、話題となっている「お江」がよく解る一冊です。



アーサー・ビナード/文 大月書店

 「イングリシュ おためしタイム スタート!」通学途中のめがね屋さんのかけ声で、「英語メガネ」をかけた竜二。なんと、横断歩道がシマウマに見えてくるではありませんか。「英語でゼブラクロッシングと言うからね。」めがね屋さんは、ナス(エッグ プラント)オリズルラン(スパイダー プラント)・ナマズ(キャット フィシュ)と次々に商店街を案内して行きます。『「ことば」がコミュニケーションのツールであると認識して、「外国語メガネ」をかけ、世界に目を向けたら楽しいよ。』と著者のビナードさんは呼びかけています。



ウィリアム・カムクワンバ/著 文藝春秋

 アフリカの最貧国、マラウイを襲った食料危機で、学費が払えずに、中学校に行けなくなったカムクワンバ少年。学校をやめた後、彼はNPOがつくった学校図書室に通い、「風力発電」の本と出会います。この本は、14歳の少年が、まわりの人に人に笑われながらも、独学で風車を作り、電気を起こした感動の記録です。 解説の池上彰さんは、「知識は力なり。」本当に学びたい子ども達が、目を輝かせて勉強する、それが本当の教育だと語っています。



根岸 英一/著 共同通信社

 昨年の3月11日。あの日、震度7の大地震と大津波によって廃墟となってしまった場所。
愛する人を失ってしまったこどもたちへ、宮城県を故郷に持つ若き著者が語りだしました。
昨年、鈴木章さんと共にノーベル化学賞を受賞し、マスコミに引っ張りだこの根岸英一さん。根岸さんは、昭和10年満州長春に生まれ、神奈川の湘南高校から東大に進み、帝人に入社してまもなく、難関のフルブライト奨学金を受け、アメリカへ留学しています。大きな夢を抱き、そのための最高の師を求めて世界に出てから50年。元気をなくしかけた現代の日本人に「若者よ、海外へでよ!」と、自らが実践たこと、その果てに得たものについて語っています。