平成23年7月号



七瀬 晶/作 角川書店

 季節はずれに転校してきた美少女、昭島こころは、「私には話しかけないでください。この中学校で友だちを作るつもりはありません。」クラスメイトの前でいきなり宣言した。
そのことは、周囲の女の子に合わせ、意見を外に出さないことで、居場所を作ってきた双葉絆に強い刺激を与える。
こころの周辺では奇妙なことが次々に起こり始め、こころと友だちになろうと決意した絆にも事件が襲い掛かってくる・・・。



つかさおさむ/作 偕成社

 主人公は中学1年生の遥と淳、そして不思議な「お菓子の本」。
向田邦子さんは書斎から地図を持ってきて、絨毯の上にアフリカの地図を広げた。
「キリマンジェロの麓なのよ」「私の土地は一平方メートル」
作者の司修さんと向田さんの何気ない過去の会話から生まれたお話です。
「誰にことわってもいないのよ。少女時代に決めたまま」幸福そのものの笑顔で語る向田さんの「大きな夢のはなし」。何にも縛られない壮大で自由な夢は、子どもの心を大きく広げ、生きている間中、夢見ていられる「たからもの」となるのです。
どこまでも どこまでも心が開放される一冊です。



島沢 優子/著 小学館

 小三からバスケットボールを初め、中学時代には山梨県選抜のエースと言われていた田中正幸くんが、脳出血のために倒れたのは、2007年4月3日、16歳の誕生日でした。
もう一度バスケットコートに立ちたい。右半身が不自由な姿で、日川高校のバスケットボール部で頑張った正幸君。チームメイトの支えで悲願の公式試合に出場し、左手一本の奇跡ともいえるゴールを決めたのは、倒れてから1167日目でした。
テレビでも紹介され、評判を呼んだ、感動を与えてくれる一冊です。