平成24年7月号



堀口順子/著 小峰書店

 落語家のじいちゃんに弟子入りすることだけを望んでいた中学3年の新太郎は、突然じいちゃんが死んでしまって絶望していた。
そこに、「いつまでめそめそしていやがる」とひょっこりじいちゃんが現れる。
幼い頃に両親と死別し、じいちゃんと暮らしていた新太郎。幽霊となっても大好きなじいちゃんと一緒に、学校や寄席に出かけては、だんだんと元気になっていく。
じいちゃんや、新太郎を取り巻く優しく暖かい人々とのかかわりの中で、自分の進む道をしっかりと見つけていく少年の青春小説。



小手鞠るい/著 講談社

 主人公は中学1年生の遥と淳、そして不思議な「お菓子の本」。
アメリカにホームステイした遥は、家族となじめず「こんなはずではなかった」と悩んでいた時、おばあちゃんが書いてくれた一冊のお菓子の本を、荷物から見つけ出す…。
突然おじいちゃんが亡くなり、お母さんと中学生の淳ではパン屋を続けることができなくなった中で、勇気付けてくれたのは、図書館で間違って持って来てしまったお菓子の本だった。
大学生になってめぐり合う二人。時間と場所を越えて、不思議な縁で結び付けられた二人のほろ苦い初恋と家族の愛の物語。



千石正一/著 デイスカヴァー・トゥエンティワン

 爬虫類研究者の千石氏は、子どもの頃から「生き物オタク」で、世界各地をかけ回り日本で最も多くの種類の爬虫類・両生類に接した学者です。
生き物はみんな平等、いのちと自然環境はみんなつながっていると考え、テレビなどいろいろな場面で発言していましたが、5年前に十二指腸ガンの告知を受け、目の前に「死」が現れたとき、地球が急速に病んでいることをひしひしと感じるようになりました。
「もっと地球の声に耳を傾けて、これからもずっといのちを、つなぎ続けてほしい。」
今年の2月に亡くなった千石氏最後のメッセージが心にしみる一冊です。



吉村泰治/著 技報堂出版

 銀に殺菌効果があるって知っていましたか?
昔からヨーロッパでは、銀の食器が多く使われていました。銀は、私たちを細菌から守ってくれているんですね。
使い捨てカイロの袋の中には何が入っているの?
1978年に誕生した使い捨てカイロは、日本人の発明だそうです。袋の中の鉄粉・水・食塩が反応した鉄の酸化熱を利用したものです。
私たちの生活の中の身近なものに隠された金属のヒミツ40を、登場人物のパパが易しく説明してくれます。